植村花菜

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植村花菜

植村花菜のニュー・シングルは、
蒸し暑いこの季節にカラっとした涼しい風を運んでくれる。
エアコンよりも音の風のほうが心地いい。

(初出『Groovin'』2008年8月25日号)

植村花菜-A.jpg いくら地球温暖化が問題になっていても、この時期やはりエアコンを抜きには生活できない。しかし毎年のことだが、このエアコンによって必ず体調を崩してしまう。人工的な、不自然な冷風は体も拒絶してしまうということなのだろうか。ただ夏でも明け方、僅かな時間だけ、涼しい風が通る時間がある。この風の心地よさは周囲の静けさもあってか、まるで熱気で塗りつぶされた空気を冷気でリセットするかようだ。
 植村花菜の歌には、そんな一瞬を感じた。時間を空間に置き換えて表現すれば、都会のエア・ポケットなどと言えるのかもしれない。都市化されている中に僅かばかりに残された自然の緑のような、今となっては貴重となってしまったがゆえに人がなんとなく引き寄せられていくような、そんな感覚をおぼえる。
 2005年、メジャー・デビュー・シングルの「大切な人」、セカンド・シングルの「ミルクティー」の時の印象は、もっとストレートでソリッドだったように思う。しかしその後3枚のアルバムをリリースし、松岡モトキや澤近泰輔などのプロデューサーを迎え入れたり、数々のライヴやフェスなどの経験を得て、自身の声も含めて潜在的に持つ魅力が増幅されてきたようにみえる。
 さて、デビューから3年が経ち、確実に稀有な個性として開花しつつある植村花菜のニュー・シングル「シャララ」だが、アレンジに浦 清秀&片岡大志を迎え、アコースティックを基調とした従来からのイメージはそのままに、音に厚みと安定感のあるスウィンギーなミディアム・ナンバーに仕上がっている。歌詞もラジオやライヴのMCで見てとれる飾らない性格を反映したサバサバした感じが心地よい。ちなみにc/wの「sky high」は前作に引き続き松岡モトキが手がけている。
 この夏は「SUMMER SONIC 08」を筆頭に野外フェスに多数出演するなど、精力的に活動をしている植村花菜。次回作では今よりも進化した姿が見られるのではないか。そんな風に期待してやまない。

Text by 松本真一(三島店)

『シャララ』
植村花菜-J 初回盤.jpg




キングレコード
発売中
Maxi Single
[初回限定盤]DVD付 KICM-91240 ¥1,500(税込)
[通常盤] KICM-1240 ¥1,050(税込)

3rdアルバム『愛と太陽』以来、約10ヶ月ぶりとなるニュー・シングルは『近未来×予測テレビ ジキル&ハイド』エンディング・テーマ。c/wには「sky high」と3rdアルバム収録「Only You」のライヴ・ヴァージョンを収録。初回限定盤のみ「シャララ」MUSIC CLIPを収録したDVD付き。

※写真は[初回限定盤]のジャケットです。

【植村花菜 Official web site】http://www.clearsky.co.jp/kana/

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