メタリカ

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メタリカ

なんと、わずか5年で新作の登場!
プロデューサーにリック・ルービンを迎え、新メンバーにロバート・トゥルージロが
本格加入した今作は、新生メタリカの幕開けを告げる衝撃作だ!

(初出『Groovin'』2008年8月25日号)

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 「メタリカの新作」…こんなに心が動く言葉は久々だ。さすがはモンスター・バンド、新作が出るらしいと噂が出た時点から音楽業界、少なくともCDショップはザワザワとしてきていた。ヘヴィ・メタルがいくらメジャーになったからと言っても決して万人に喜ばれる音楽ではない。殊にスラッシュ・メタルに類するものは万人には受け入れられ難いと思うが、逆にその取っ付きづらさがロックやポップスでは満足できないコアなファンを生み出し圧倒的な支持を得てきた。この手の音楽を好む人の心のどこかには、他人が聴かない格好いい音楽を自分は聴いているという誇りがある。だが、できればこんな良い音楽をもっと多くの人が知ってもっと多くの人と楽しめたら良いのにとも思っている。そんなモヤモヤとしている思いを叶えてみせたのが80年代のメタリカだったのではないだろうか。
 80年代いわゆる4大スラッシュは其々が強烈な個性を放ち、スラッシュ・メタル、へヴィ・メタルの可能性を広げて見せた。その中でも、メタリカは攻撃的でありつつも作り込まれた楽曲で多くの音楽ファンを唸らせ、商業的にも成功を遂げたスラッシュ・メタルの旗手だった。初期の頃から応援し『マスター・オブ・パペッツ』からの盛り上がりをオンタイムで体感した世代にはアーティストの枠を超えたヒーロー的な存在になった。1991年発表の『メタリカ』は既にスラッシュ・メタルではなかったが、それゆえの大成功を収めた。『ロード』も意欲作だったし、『セイント・アンガー』も良い、前作あたりから嵌っていったファンは膨大な数だろう。30代半ばの私にとっては『アンド・ジャスティス・フォー・オール』は『マスター・オブ・パペッツ』発表後に屋台骨のクリフ・バートンを失ってしまったバンドが、それでもリフに拘り抜いて作品を作ったことが非常に感動的な作品だった。
 無論、聴いている側も年をとってきたのだからメンバーも年齢を重ね、バンドだって熟成されてくる。さらなる高みを目指して新境地を拓くのもアーティストだから当然だ。それを踏まえたうえで原点回帰を求めるのはファンとしては正しい姿勢ではないかもしれないが、メタリカと同時代のリスナーとしては昔の音をもう1回聴いてみたいと思ってしまうのだ。自分達のヒーローにはいつまでも1番思い入れのあった時のままでいて欲しい、メタリカを超えるのはやはりメタリカだったと思わせて欲しいという願いがあるのだが、今作はきっとその願いを叶えてくれるに違いない。『デス・マグネティック』が発売されて暫くは、おそらく全てのすみやで試聴機に入っているだろうから、メタル・ファンならすみやの店頭で是非聴いてみて欲しい。名盤『マスター・オブ・パペッツ』を意識して作られたという今作には、ファンの期待に応える熱い音が詰まっているはずだ。

Text by 市村高歩(竜ヶ崎店)

『デス・マグネティック』
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ユニバーサル インターナショナル
9月10日発売
CD
[ストロング・エディション](SHM-CD盤) UICR-9028 ¥2,800(税込)
[通常盤]UICR-1077 ¥2,500(税込)

よもや解散か!の危機を乗り越え復活の狼煙を上げた前作からわずか5年で新作の登場。前作では演奏していなかった新メンバー、ロバート・トゥルージロも本格参戦。プロデューサーにリック・ルービンを迎え、今作こそが新生メタリカの第1章だ!話題のSHM-CD仕様のストロング・エディションは初回限定生産盤。

【メタリカ 日本オフィシャルサイト】http://www.universal-music.co.jp/u-pop/artist/metallica/

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