藤澤ノリマサ

ARTIST PICK UP

藤澤ノリマサ

「ダッタン人の踊り」で衝撃デビュー以降、
"ポップ・オペラ"を追求し続ける藤澤ノリマサ。
待望のファースト・アルバム『VOICE OF LOVE〜愛の力〜』リリース!

(初出『Groovin'』2008年11月25日号)

藤澤ノリマサ-A.jpg 「ダッタン人の踊り」でデビュー、ポップスにクラシック、とりわけオペラの要素を融合させた"ポップ・オペラ"を独自の解釈で追及し、以降も2nd、3rdとリリースを重ねるごとに自身のスタイルを確固たるものにしてきた藤澤ノリマサ、初のフル・アルバム発売である。ところで、藤澤ノリマサを評するとき「クラシックとポップスの融合」とよく言われ、その斬新さが取り上げられるが、いまひとつその中身については伝わってないように思う。
 そもそも、クラシックの曲をポップスのアレンジにすることは、以前より頻繁に試みられていたのだが、ではなにが斬新なのか?ここでは主に3つのパターンに分類してみたい。1つ目はザ・ピーナッツの「情熱の花」(「エリーゼのために」をアレンジ)、最近では平原綾香の「jupiter」などである。これらは基本的に、クラシックの名曲のメロディ・ラインのみをカヴァーしている。つまりクラシックから…ということよりも、良い旋律を拝借したという色合いが強いかもしれない。2つ目は「展覧会の絵」などをロック風にアレンジしたプログレの代表格、エマーソン・レイク&パーマーなどである。彼らには、クラシックを取り入れることで、自身の音楽に幅や深みを持たせようというねらいがある(無論、偉大なプログレの巨匠をこれだけで片付けようとは思わないが)。ちなみに90年代日本において、ジ・エキセントリック・オペラというユニットが、歌劇「カルメン」や「魔笛」などをテクノ・ミュージックと融合させているが、これもその同系といえる。3つ目は、クラシックという一見すると高尚で敷居の高い音楽をよりカジュアルに楽しめるようにすることをねらいとしてポップスと融合させたものであり、藤澤ノリマサはこれに属する。一般的にクラシカル・クロスオーヴァーと呼ばれるのは、このカテゴリーであり、サラ・ブライトマンはこの代表格といえる。だからなのだろうか、藤澤ノリマサの楽曲は原曲のよさをとても大事にしているように思う。今回のアルバム『VOICE OF LOVE〜愛の力〜』では主に「ダッタン人の踊り」や「VINCERO-ヴィンチェロ-」のようなテクノ・ポップ調の楽曲と、「君が待つ家〜AVE MARIA〜」のようなバラード調のものとに分けられるが、どれも共通してそのアレンジが原曲そのものの世界を実に壮大な形に増幅しているように感じる。また今回の選曲も歌曲の中でも有名な曲ばかりで、さながら"名曲アルバム"のようでもある。つまりこのアルバムを通じてクラシックのよさ、楽しさを広げたい、という藤澤のメッセージが込められていると思う。
 藤澤ノリマサのヴォーカルの大きな特徴として、最初はポップス調で歌っていながら、サビでクラシックの歌唱法に切り替わるということがある。それはまさにミュージカルでセリフから歌に流れていく形を彷彿とさせ、ポップ・ミュージックに慣れ親しんでいる人たちをクラシックへ誘っているようにも感じる。これは数あるクラシカル・クロスオーヴァーのアーティストの中でも特筆すべきところであり、まさに斬新なクロスオーヴァーといえる。さて、残りの文字数も少なくなってきた。そんな藤澤ノリマサ待望のアルバム、まずは是非お聴きいただきたい。

Text by 松本真一(函南店)

『VOICE OF LOVE〜愛の力〜』
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Dreamusic
11月26日発売
[CD+DVD]MUCD-8008 ¥3,600(税込)
[CD]MUCD-1193 ¥3,000(税込)

待望の1stアルバム!ポップスにオペラ、クラシックを融合させたダンサブルな楽曲からバラードまで、藤澤ノリマサ・ワールド満載。「ダッタン人の踊り」「Cross Heart」などを収めた全13曲。[CD+DVD]のDVDにはシングル3曲のVideo Clipとメイキング、インタヴュー映像を収録。

※写真は左が[CD+DVD]、右が[CD]のジャケットです。

【藤澤ノリマサ OFFICIAL WEBSITE】http://www.fujisawanorimasa.net/

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