いきものがかり

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いきものがかり

紅白歌合戦出場も決定!乗りに乗っている「泣き笑い切なポップ3人組」が、
前作からわずか10ヶ月でNEWアルバムをリリース!
全てのJ-POPファンに捧ぐ、極上サウンド満載の傑作デス。

(初出『Groovin'』2008年12月25日号)

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 また、いきものがかりに騙された。テレビなどのメディア媒体で彼らを目にすると、デビュー前から未だ変わらないその強烈な「どこにでもいそう感」につい油断してしまうのだ。そんなイメージを抱いたままこうして彼らの新作を聴く度に、前回の反省をろくに生かしもせず、そのどこにでもいそうな3人組が放つ極上青春爽やかソング達にガツンとやられてしまうのである。
 最初に言ってしまうが、今回の3rdアルバム『My song Your song』は傑作だ。浮かんだメロディを練りに練って長時間熟成させる水野良樹、対照的にひらめきと一瞬の感性を大切にして楽曲を生み出す山下穂尊。彼らの楽曲制作時間は「水野は30日、山下は30分」と言われるほどスタイルが異なるのに、創り出す作品は2人してどこまでもPOP、果てしなくキャッチー。そんな野郎共が綴った乙女心(笑)を吉岡聖恵が力強くまっすぐに歌い上げる…という彼らの持ち味は今作でも勿論全開なのだが、今回は今までの作品とは違うある変化が起きた。
今作における重要なポイントは、ヴォーカルの聖恵ちゃんまで自ら作詞・作曲をこなすようになったこと。しかもこれが、すごく良い。同様のケースで楽曲バランスが著しく低下するバンドを今まで何度となく見てきたが心配ご無用。聴いた瞬間水野君でも山下君のものでもない楽曲だと分かるくらいの個性を感じさせつつ、それでいて確かにいきものがかりの楽曲としてすんなり受け入れられるものだった。
 こうして更に一歩進んだ彼らが放つ今作は、前作からわずか10ヶ月、しかもこの間も立て続けにシングルをリリースし続けているにも拘わらず、決して大袈裟ではなく全曲シングルで出せるのではないかと思うほどの楽曲がズラリと並んでいる。そんな中で気になるのは、ちょっと大人ムードな別れの曲「くちづけ」。前向きな主人公を描いた楽曲が多い彼らのイメージからは意外な雰囲気で、エレキとブルース・ハープの悲しい響きが印象的な楽曲だ。また前述の聖恵ちゃん作の「僕はここにいる」は今までの彼らにはないメロディ・ラインに乗ったシンプルな言葉が胸に心地良く響く暖かな作品。シングル曲のクオリティに関しては今更説明無用、その他の楽曲も枚挙に暇がないほどの充実した内容となっている。彼らの歌が持つ弱さやひたむきさ。また全ての楽曲に欠かさず存在する人と人との心の繋がり。老若男女問わず彼らの歌が愛されるのはメロディの親しみやすさもさることながら、いくつになっても消える事のないそういった若さやぬくもりに満ち溢れた世界観が、僕らを惹きつけて止まないのからだろう。
 どこにでもいそうでどこにもいない。彼らにはおよそ似つかわしくない「能ある鷹は爪を隠す」なんて言葉がふと浮かんだ。次もまた、懲りもせず僕を騙してくれるに違いない。

Text by 森 祐一郎(市原白金通り店)

『My song Your song』
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Epic Records
発売中
CD
ESCL-3146
¥3,059(税込)

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【いきものがかり Official web site】http://www.ikimonogakari.com/

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