lego big morl

ARTIST PICK UP

lego big morl

「独自の世界観をもったバンド」がひしめくシーンの中で、群を抜くポップ性。
オルタナティヴの中の王道を極めた1stシングルを引っ提げ、
いよいよメイン・ストリームへ。

(初出『Groovin'』2008年12月25日号)

lego big morl-A.jpg 誰もブームとは呼ばないけれど、毎年毎月数え切れないほどのバンドがデビューしている。しかもそれをデビューと呼べるのか呼べないのか微妙な形でのリリースも多いし、インディーズなのかメジャーなのか、インディーズのフリしたメジャーなのか、どんどん訳がわからなくなってきている。「なんだっていい」「どうだっていい」ことが"○○の壁を越える"こととイコールにもなってきた。それは幸福なことであり、危険なことでもあることは、雨後の筍状態の中からプッシュされ、頭角を現してきたバンドの1年後、2年後をみれば明らかだろう。じゃあ、長く生き残るためにどうするのかといえば、もっとも手っ取り早いのが"ポップにすること"。そして「やっぱり多くの人に伝わらなければ」という考えに変化していったりする。だが、自由にやることは簡単でも、"ポップにすること"は意外に難しい。そこには何よりも曲のよさが必要だからだ。
 かくしてこのlego big morl(レゴ・ビッグ・モール)もフリー・スタイルを掲げる若手バンドのひとつ。あらゆる音楽スタイルを飲み込み、ピントに合うもの、必要なものを取捨選択し、自らの音楽に組み込む。自分たちのやりたい音をやりたいだけ鳴らして、それを持ち味にするという、ますます台頭してきた雑食性あるギター・バンドといっていいだろう。その中でも彼らは結成してまだ2年であるにも拘わらず、業界騒然という枕詞がつくほどの期待の星だ。まず100円シングルやフリー・レンタルといった"楽曲先行"のプロモーションを積極的に行ってきた。バンドの背景や人物像を偏重する最近の風潮を覆すカウンター的なやり方も頼もしいが、それは相当な自信がなければできることではなく、もっといえば彼らは最初からポップであったことにほかならないのではないか。
 今年6月に発表された1stミニ・アルバム『Tuesday and Thursday』で窺えたその片鱗は、今回リリースされる1stシングル「Ray」でより鮮明なものとなった。これ以上やったらただの自己満足でしかない。そのボーダー・ラインを見極めた上で成立する、寄せては返す波のようなサウンド。その中で際立つメロディ・ラインの美しさ。バンドの在り方を暗示させるかのような詞を丁寧に伝える歌唱。勢い任せではどうにもならないミディアム・ナンバーでこそ浮き彫りになるバンドのポテンシャルを提示する、会心のナンバーとなった。幸運なタイアップで勢いがさらに加速することは間違いない。と同時に、ポップであることをさらなる武器にした、1年先2年先にある彼らを想像してみたくもなる。そう思わせる1曲でもあるのだ。

Text by 篠原美江

『Ray』
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OORONG RECORDS
発売中
Maxi Single
XNOR-30003
¥500(税込)

日本語ギター・ロックの新しい形を提示する4ピースが1stシングルをリリース。映画×連続ドラマ『赤い糸』挿入歌に抜擢されたことでも話題のこの曲は、なんとワンコイン(500円)プライス!さらに3ヶ月限定リリースのため、入手困難となるのは必至だ。

【lego big morl 公式サイト】http://www.legobigmorl.jp/

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