エリック・マーティン of Groovin2009

ARTIST PICK UP

エリック・マーティン

日本の歌姫のカヴァーでシーンに復帰したエリックの「MR.VOCALIST」シリーズ第2弾!
ロックに愛されたその歌声で、誰もが一度は耳にした事のある
世界の歌姫たちの名曲に新たな息吹を吹き込む!

(初出『Groovin'』2009年2月25日号)

エリック・マーティン-A.jpg 異性の楽曲のカヴァー・アルバムは、ここ最近のトレンドではあったが、あのエリック・マーティンが、しかもJ-POPのバラード・ヒットを英語で歌うということを誰が想像していただろうか…。
 親日派のアーティストは数あれど、エリックの日本に対する想いは非常に強い。日本のファンはMR.BIGというバンドをどの国よりも早く熱心に支持し、「トゥ・ビー・ウィズ・ユー」で全米1位を獲得した後も本国では徐々に活動が縮小していく中、変わらず熱い声援を送り続けた。このことから「BIG IN JAPAN」と揶揄されることもあるが、最初から最後まで一貫して応援し続けてくれた日本のファンは彼にとってかけがえのない存在となっているのであろう。その後ソロ活動を経て、2004年以降は双子の男の子の父親として家庭を優先し、音楽活動を休止していたが、子供が4歳になったのを機にカムバックを決意。復活を待ち続けてくれていた日本のファンへ、最高の贈り物がしたいという想いで制作された前作『MR.VOCALIST』は、リリース以後大きな話題となり、すでに10万枚を超えるヒットを記録している。
 こうして華麗なる復活を遂げたエリックは第2弾の制作に着手。「次はファンと一緒に作りたい」というエリックの要望から、ファンによって選出された世界の歌姫の12曲のバラードを収録。マライア・キャリー、セリーヌ・ディオン、ホイットニー・ヒューストンといった驚異的な歌唱力を誇る超一流のディーヴァたちによって歌い継がれてきた珠玉のヒット・バラードにエリックがどう立ち向かっていくのかが今回の聴き所。違う言語でのカヴァーに挑戦した前作と違い、原曲との比較が容易になった今作だが、それでも気負うことなく自分なりの解釈で名曲の数々に新しい生命を吹き込むことに成功している。ロックに愛された天性のロック・ヴォーカリストである彼のハスキー・ヴォイスは今作でも不器用なまでにロックしている。しかしそれが数々の名曲に新たな魅力を注入すると同時に、多彩なジャンルから持ち寄った楽曲に1本の芯を通しており、アルバム全体のバランスを調整する役割を果たしている。ファン投票で1位を獲得したリード曲であるマライア・キャリーのカヴァー「HERO」ではそれが顕著に表れており、ライヴ感あふれるパワフルなロッカ・バラードをまるで持ち歌のように生き生きと表現するエリックの歌唱が心地良い。この他にもジェイク・シマブクロが参加したシンディ・ローパーの名曲「Time After Time」や、尺八や琴といった和楽器を取り入れたセリーヌ・ディオンの誰もが知っている、あの『タイタニック』のテーマ曲「My Heart Will Go On」、エリックのソウルフルな歌唱の真髄が聴けるホイットニー・ヒューストンの代表曲で映画『ボディガード』のテーマ曲「I Will Always Love You」など聴き所は満載なので、ぜひご自身の耳で聴いてみて頂きたい。
 4年間のブランクを埋めるには十分すぎるほどの結果を出すことに成功したエリック。次はこの「MR.VOCALIST」が「MR.BIGのVOCALIST」に戻ることを夢見て、今はただこの珠玉のバラードに耳を預けることにしよう…。

Text by 矢部信之

『MR.VOCALIST 2』
エリック・マーティン-J.jpg
SMJI
3月4日発売
CD
SICP-2148
¥2,730(税込)

日本の歌姫の楽曲を英語でカヴァーし、大ヒットを記録した「MR.VOCALIST」シリーズ、早くも第2弾が登場!ファン選出の誰もが耳にした事のある世界の歌姫たちの名曲12曲は、エリックのソウルフルな歌唱によって新たなる輝きを放つ。

【エリック・マーティン メーカーサイト】http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Special/ericmartin/

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