実録・連合赤軍 あさま山荘への道程 of Groovin2009

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©2007 若松プロダクション
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見終えた後、日常の平穏な気分を徹底的に壊し、
様々な事を考えさせる作品だ。少なくとも甘い気分などは
吹き飛ぶ。若松孝ニ監督作品、見逃しては駄目だ。

(初出『Groovin'』2009年2月25日号)

 「あさま山荘」での連合赤軍立てこもりに至る姿を描いた作品。中盤以降、凄惨な場面の連続は見る側も相当に疲労する。それにしても僕自身、「あさま山荘」での機動隊との「戦闘」を当時TVを通し見ていた記憶は鮮明だし、またこの事件周辺について書かれたものを読んだこともあったはずだが、それらはこの映画の前ではまるで説得力のないものになってしまった。鬼気迫る作品、これをシネコンあたりで気
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場面写真-4.jpg楽に見るエンターテイメント映画と同一の地平上に置けるはずも無い。暴力の最たるものである戦争への路を怖れるがゆえの日米同盟(安保)反対、生活者(人民)の幸福と平等の実現のための共産革命達成を目指していたはずが、いつの間にか閉塞状況の中での仲間同士の粛清につながる様は、彼らが忌避している旧大日本帝国における陸軍内務班のリンチすら凌駕している、と思わせる。少なくとも日本映画でここまで壮絶な映像を見たことは僕にはない。そし

て、ここまでした本作品の目指すところは、
この作品を見た1人1人が各々の内側に「なぜ」「どうして」という疑問を抱え込み、そのどうにもたまらない重さをそれぞれの方法で咀嚼し、この映画を見る前と見た後で自身がどう変わるかを確認して欲しい、という事なのかもしれない。それにしても映画の後半、「あさま山荘」での警官隊との攻防、管理人女性とのやり取りを、外の風景を一切映さず(密室である)山荘内部からのみ描写している点は、さすが若松監督。
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Text by 鷲尾 剛

『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』
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CCRE
2月27日発売
DVD(2枚組)
CCRE-8821
¥4,935(税込)
「あさま山荘」での連合赤軍立てこもりに至る姿を描いており、中盤以降、凄惨な場面の連続は見る側も相当に疲労するが、見終えた後、様々な事を考えさせる作品だ。出演俳優陣の熱演も光る。何よりもあの若松孝ニ監督作品。メイキング、予告編他収録の特典ディスク付き。

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