スタンリー・クラーク、上原ひろみ、レニー・ホワイト of Groovin2009

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ARTIST PICK UP

スタンリー・クラーク、上原ひろみ、レニー・ホワイト

ジャズ・ガーデンで出逢いたい!
上原ひろみとリターン・トゥ・フォーエヴァーのスタンリー・クラーク、
レニー・ホワイトによるシンプリー・ジャズ。

(初出『Groovin'』2009年4月25日号)

スタンリー・クラーク-A.jpg 出逢いと別れはいつの日も運命的なもの。 このセッションも、まさに「一期一会」そのもので、シンプルな一音一音に吹き込まれた生命力は予想以上の強さを持つ。
 この『ジャズ・イン・ザ・ガーデン』は上原ひろみにとって、初めての全編ストレート・アヘッドなジャズ作品となった。"ストレート・アヘッド"とは、ジャズ専門用語で、アコースティックな4ビート・ジャズのことをいう。要は、もっともジャズらしいジャズと言い換えてもよいかもしれない。
 彼女の作品を振り返ってみると、確かにシンプルなジャズに相対する事が少なかった。デビュー当時から湧き出るようなエナジーを抑えきれず、ひたすらにピアノに向かっていたという印象で、パフォーマーとしての上原ひろみは最初から完成されていたと思う。勢いは未だ衰えず、最近の彼女の活動を見ても非常に広範で精力的。決して自分で自分のリミットを決めるのでなく、様々なアーティストやミュージシャンとのコラボには貪欲までに、果敢に挑んでいる。結果、予想だにしないケミストリーを生んできたのは周知の事実。
 そんな上原ひろみが満を持して、真っ向から"ジャズ"に挑んだのある。彼女とトリオを組んだミュージシャンは2人。1人はスタンリー・クラーク(ベース)で、もう1人はレニー・ホワイト(ドラムス)。この2人のミュージシャン、なんとあの伝説的なグループ、"リターン・トゥ・フォーエヴァー"のメンバーなのである。特にスタンリー・クラークは、そのバンドにおいてオリジナル・メンバーであり、数々の名盤制作に関わってきた。あの、カモメが水面すれすれに空切るジャケットが印象的なデビュー盤は、フュージョン・ミュージックの先駆けとなった作品。機会があれば、そのアルバムも是非ご一聴することをおすすめしたい。
 そんな今作『ジャズ・イン・ザ・ガーデン』は上原ひろみのジャズ作品を望んでいたファンには絶好の1枚になったと思う。そして、もちろん今作で彼女を知った音楽ファンにとっても、ジャズとの「一期一会」を楽しんで欲しい作品だ。

Text by 松本昭仁

『ジャズ・イン・ザ・ガーデン』
スタンリー・クラーク-J.jpg
ユニバーサル クラシックス&ジャズ
発売中
CD
UCCT-1212
¥2,500(税込)
マイルス・デイヴィスの「ソーラー」、ディズニー・スタンダードの「いつか王子様が」、さらにレッチリの「アンダー・ザ・ブリッジ」に伝統的な歌曲「さくらさくら」、新曲「ブレイン・トレーニング」などジャズ・マインドに溢れた会心作。日本盤ボーナス・トラック1曲収録。

【スタンリー・クラーク メーカーサイト】http://www.universal-music.co.jp/jazz/artist/stanley_clarke/index.html
【上原ひろみオフィシャルサイト】http://www.hiromiuehara.com/


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