馬場俊英 of Groovin2009

SPECIAL INTERVIEW

馬場俊英

38歳での再デビュー、40歳での紅白初出場、そして昨年末は大阪城ホールでの1万人ライヴ…!9回裏で本塁打を連発する"不屈のシンガー"、馬場俊英にインタヴューを敢行。レコード会社を移籍し、新たな"スタートライン"に立った彼の最新作『延長戦を続ける大人たちへ』について、そして"次のゴール"について伺うことができました。

(初出『Groovin'』2009年6月25日号)

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−−:まず、『延長戦を続ける大人たちへ』というタイトルの由来を教えてください。
馬場俊英:「大人たちへ」というのは、僕と同世代の方々の事。学生時代を終えて、社会に出て、新たな日々と向き合って…。色々な経験を積んだけれども、色々な不安もあったりする。そんな「大人たち」の今、この一瞬っていうのは、まるで野球のイニングのように積み重ねてきたものだと思うんです。…3回表では勝っていたけど、5回裏に追いつかれて、7回表に逆転して、9回裏でまた追いつかれて…延長戦、みたいな。これまでのことも無駄にしないで、今を生きて、これからの日々に生かしていく…そういう「延長戦」の感覚がとても素敵だなと思って、タイトルにしました。
−−:前作『青春映画が好きだった』の「君はレースの途中のランナー」にも、「僕らは長いひとつの/同じゲームの延長戦を/今も続けてるんじゃないだろうか」というフレーズがありましたね。
馬場:『人生という名の列車』『青春映画が好きだった』、そして新作と併せて3枚で、架空の映画のサウンドトラックを作っている感じなんですよ。だから、同じようなフレーズが引き出されたんだと思います。
−−:その前2作と比べると、本作は「現在進行形」というか、過去を振り返らないで、今から未来へ向かっていくような印象が強かったのですが…。
馬場:ああ、なるほど…。そうかもしれない(笑)!意識はしてなかったんですけど…。(移籍して)新しい環境でアルバムを作ったのが、とても制作に影響したかもしれないですね。アレンジャーをはじめとする様々な方々との新しい出逢いもあって「どう作っていこうか」「今度こうしよう」っていう会話に満たされていたんですよ。そういう人間関係の中で音楽と向き合っていたので、自然に「現在進行形」になっていたのかもしれないですね。
−−:全編を通して今まで以上にシンプルな言葉選びになって、楽曲の力強さが増している印象ですね。
馬場:そうですね。前2作も含めて、1つのメッセージ・テーマで作っているんですが、そういう意味では4、5年間、同じ景色をずっと見ながら作品を作っていたんですよ。そのテーマについて人に話したり、実際に人前で唄ったりしていく中で、だんだん…迷いが無くなってきたというか。ストレートさが増してきたというか。そういうところはありますね。
−−:「夏の午後の長い坂道の途中で」でも「君はバカみたいだ」というストレートなフレーズが連呼されていて驚きました。
馬場:そんなにバカバカ言うなよってね(笑)。でも、「愚直」って言葉があるじゃないですか。愚直で一生懸命な人を見て、「バカだなあ、お前は…。じゃあ、一緒に頑張ろうか!」っていう(笑)。そういうエールの曲ですね。
−−:ライヴでも盛り上がりそうな曲ですね。
馬場:なんか、そうみたい!関係者に披露する機会があったんですが、良い手応えがあって。大事な曲になりそうです。
−−:ところで、本作には「勝ち」「負け」「闘う」「ファイティングポーズ」等、「試合」を連想させる言葉が随所に登場しますね。馬場さんが思う、人生という「試合」においての「勝利」とは何ですか?
馬場:それは…最期まで分からないですね。でも、例えば野球なら、グラウンドがあって、自分が居て、友達が居て、先輩が居て、風があって、雨があって、空があって、汗があって、涙があって、喜びがあって、悔しさがあって、負けがあるんですね。それで勝ちもある。そういう色々な感情がとっても豊かにしてくれるし、自分にとって財産になると思う。だから僕は野球が大好きなんです。「試合」の勝敗はどうでもよくて、「勝利」を目指すからこそ生まれる色々な物こそが大切だと思うんですよ。本作にもそういう想いを込めてます。
−−:初回限定盤の特典DVDに収録されている「大阪城ホール"1万人のピース"LIVE」について教えてください。
馬場:そうだなー…。正直、1万人って数に実感が湧かなかったですね(笑)。不思議な感覚でした。ただ、小さなライヴ・ハウスから始めて少しずつ音楽が伝わっていって、規模が大きくなっていった結果、実現できた事なので「こういうやり方もあるんだな」っていう、自分にとって背中を押されるような、とても勇気づけられたライヴでした。ライヴ自体は3時間ほどあったんですが、それを1時間ほどにまとめてDVDに収録してます。ライヴ映像をDVDに収録するのは初めてなので、是非CDと共に楽しんでもらいたいです。
−−:最後に、馬場さんが目指す"次のゴール"を教えてください。
馬場:これまではライヴ会場の規模を大きくすることを目標に掲げてきたんですけど、今後は内容を良くしていきたいなと思ってます。CDもライヴも。例えば、1万人の会場で9,500人は楽しんで500人は途中で帰りました、ではなくて、200人の会場で200人全員が最後まで楽しめる様な内容に出来るように一生懸命やっていきたいですね。

インタヴュー&構成:宮城 宙(編集部)
(2009年6月2日/ワーナーミュージック・ジャパンにて)

『延長戦を続ける大人たちへ』
馬場俊英-J.jpg
ワーナーミュージック・ジャパン
7月1日発売
CD
WPCL-10718
¥3,150(税込)
1年10ヶ月ぶりの発表となる9thアルバム。よりシンプルで力強くなった言葉で綴る「大人たちへ」の応援歌を中心に全13曲収録。

【馬場俊英 オフィシャルサイト】http://www.babatoshihide.com/

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