コブクロ of Groovin2009

SPECIAL SELECTION

コブクロ

誰もが持つ、夢を追い求める先の見えない不安感。
それさえも楽しみへと変えたとき、新たな扉が開く。
彼らの歌声に導かれ一歩踏み出せば、広がる世界はきっと鮮やかな虹色だ。

(初出『Groovin'』2009年7月25日号)

コブクロ-A.jpg 音楽は文字通り、音を楽しむためのもので、そこに点数やお金の話を持ち出すのは、ともすればひどくナンセンスな話にも聞こえるが、この曲は満点!このコンサートにならいくらでも出せる!そんな風に言われたら、それはアーティスト冥利に尽きる、というものではないだろうか。なぜいきなりそんな話になったかといえば、それはコブクロがインタヴューで答えた言葉に理由がある。「どう聴いて貰えるかは聴いて貰うまで分からない。前は曲の細部の細部まで自分達の頭の中にあって、100点なら100点を目指す作り方だったけど、それもやり切って、そのやり方だともうやっても楽しくない。今は"何点なのか分からない"というモノのほうが、作ってて楽しいんです(笑)」(黒田)。そもそも元を正せば先の言葉どおり、音楽とは音を楽しむ、と書くのだ。まずはコブクロの2人が楽しんで作っていなければ、それは聴いている私達にも伝わってしまうのではないだろうか。
 今回のアルバムは、そういった意味でも新しい試みが加えられている。それは、曲作りにおいてあえてどちらかをひとりきりにし、今まで取られていた"合議制"をとらない曲を作ったことだ。1人より2人、自分では見つからない欠点も、相手がいれば見つかる。合議制はまさにその考えに則った完璧、つまり100点満点を目指す曲作りの方法だったが、"何点なのかわからない"モノを作るのであれば、合議制をとる意味も自然と薄れてくる。欠点だと思っていた場所が、意外に長所だったりするかもしれない。自分ひとりで考え抜いたからこそ、見つかる答えがあるかもしれない。そして、その2人が出した答えが、今回のアルバム『CALLING』である。
 聴き始めて感じた事は、やはりコブクロはコブクロなのだということだった。それは決して悪い意味ではなく、新しい風を取り入れ、柵を取り払っても、彼らの曲の中にある芯は変わらず、どちらが作った曲でも2人で歌えば、それだけで彼らの世界が回りだすのだ。
 今回は収録されている曲も幅広い。まずはシンセを使ったイントロが印象的な「サヨナラ HERO」。この曲はレコーディング・スタジオでゼロの状態から1日で作りリズム録りまで完了させた。そして「恋心」「To calling of love」とコブクロの十八番であるバラードが続き、そして17thシングル「虹」へと流れていくのだが、この曲順が絶妙である。2曲のバラードでゆったりとした気持ちになっているところに急に流れ込む勢いのあるイントロは、文字通り目が覚めるような感覚だ。
 今作のアルバム名『CALLING』の由来は、「予めの設計図じゃなく"衝動"で音楽を作るのって、何かに"呼ばれて"やってる状態だし、でも何かに"呼ばれて"こそ初めていいモノが出来るんだろうことも分かってきましたし…。そしてアルバムが完成した後はツアーにお客さんを"お呼びする"ことになる(笑)。この言葉ひとつでカチャカチャカチャって、様々なものが繋がった」(小渕)とのこと。そういえば、"calling card"と言えば、名刺の事でもある。1年と7ヶ月ぶりとなる『CALLING』は、まさに新しい試みで作られた彼らの名刺代わりに相応しい、最高の1枚だ。

Text by 金田まどか

『CALLING』
コブクロ通常盤-J.jpg


ワーナーミュージック・ジャパン
8月5日発売
CD
WPCL-10731
¥3,150(税込)
5th、ベスト、6thと3作続けてミリオンを突破している、コブクロ1年7ヶ月ぶりの待望の7thアルバム。最新シングル「STAY」や「虹」、「時の足音」などタイアップ曲6曲を含む、全13曲を収録。

【コブクロオフィシャルホームページ】http://www.kobukuro.com/

inserted by FC2 system