陰陽座 of Groovin2009

ARTIST PICK UP

陰陽座

現ジャパニーズ・メタル・シーンを代表するバンドが見せた
ダイアモンド(金剛石)の固き信念は、何物にも負けない輝きを放つ!!
バンド結成10周年に相応しい最強鋼鉄アルバム誕生!!

(初出『Groovin'』2009年8月25日号)

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 経済不況、音楽不況が叫ばれるここ日本において、ジャパニーズ・メタル・シーンの代表格にまで成長した陰陽座も、今年で結成10周年である。様々なバンドが現れては消えていくシーンのなかで、10年にわたりコンスタントにアルバムを作り続け、ファンとの強固な絆を守り続けてきたのは本当に立派だ。
 ここ10年というと、私自身にとっても感慨深いものがある。というのも、すみやにアルバイトで入社したのが丁度10年前で、それから現在までメタルを売ることに情熱を注いできた身としては、その10年間を一緒に頑張り続けた感がある。そしてもう一つ、私のジャパニーズ・メタルへの扉を開いてくれたのが彼らだったという事もあって、彼らの10周年は本当に嬉しい。
 メタル・ファンの中にはかなり多くいると思うのだが、10年前の私も日本語歌唱のメタルがとても苦手だった。メタルの歌詞というのは結構陳腐なものが多くて、それが日本語でダイレクトに耳に入ってくるのが苦手だったのだ。しかし2002年の陰陽座のメジャー・デビュー作を聴いた時は不思議とそれがなく、彼らの音楽にのめり込むことができた。分析してみれば、彼らの世界観へのこだわりを受けて細部まで徹底的に考え抜かれた楽曲と歌詞、そして最も大きかったのは歌唱力が素晴らしいばかりではなく、声質そのものが楽器的な響きを持つVo黒猫の存在が非常に大きかったのだ。こう書くと大袈裟に聞こえるかもしれないが、結局音楽というのは作り手の力量、才能によってどうにでもなるものなのだということを再認識させられ、ジャパメタへの苦手意識を無くしてくれた彼らとの出会いは相当に衝撃的だったのだ。そうして10年間彼らの音楽とともに過ごしてきた私も、その間に正社員になり結婚もしたが、相変わらずメタルを売り続けている。そして彼らも移り変わるシーンに流されることなく活動を続け、遂にニュー・アルバム『金剛九尾』を届けてくれたのだった。
 『金剛九尾』は、もちろん第9作目ということにちなんだタイトルではあるのだろうが、10年間、自分たちの音楽をブレることなくやり続けてきた不屈の信念を感じさせる良いタイトルだ。アートワークもファンにとって毎回のお楽しみである黒猫の艶やかな姿が素晴らしい。そして、こだわり抜かれた陰陽座ワールドは相変わらずだが、ここ数作で少しずつ現れていた、自分たちのルーツであるクラシック・ヘヴィ・メタルの影響が表れたリフ作りが耳を惹き、それが陰陽座の世界観と融合していく様は非常に新鮮だ。今回は日本最大の妖怪「白面金毛九尾の狐」が題材。古代から美しい女性に化け災厄をまき散らした妖怪が、捕まり退治されるまでが組曲として⑨⑩⑪に収められている。まさに黒猫がはまり役としかいえない3曲だ。そして毎度お馴染み、忍法帖シリーズの⑤はライヴの定番になりそう。更にはシングル曲②⑦⑧、それ以外にも陰陽座の魅力を湛えた楽曲がビッシリである。
 結成10周年を祝う今回のアルバムには一切隙なし!このまま、この先10年も全力で走り続けてくれそうだ。私も彼らに負けず走り続け、次の20周年を祝えるよう頑張ろうと思う。

Text by 三津山貴之

『金剛九尾』
陰陽座-J.jpg
KING RECORDS
9月9日発売
CD
KICS-1484
¥3,000(税込)
結成10周年、一切の妥協を許さず作り上げられた陰陽座ワールドは相変わらず。今回は自分たちのルーツである鋼鉄音楽への回帰の動きもみられる。妖怪「白面金毛九尾の狐」が題材となった⑨⑩⑪の組曲は必聴!現在の日本を代表するメタル・バンドのプライドを見せる1枚。

【陰陽座公式サイト】http://www.onmyo-za.net/index.html

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