ゆず of Groovin2009

ARTIST PICK UP

ゆず

ベスト盤ではありませんが、まるでベスト。
ゆず待望の新作はシングル曲、タイアップ曲満載の濃すぎる内容デス。

(初出『Groovin'』2009年9月25日号)

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 昔から変わらないなぁと思っていたのに「あれ、こんなに大人になってたっけ?」とふとした瞬間思う事はないだろうか。リーダー北川悠仁のまさかのドラマ出演、横浜開港150周年記念テーマ・ソング制作、そして夏の音楽イベントのプロデュース…と、この1年だけを見ても大活躍する彼らには、そのアーティストとしてのスタンスの進化に驚かされたが、音楽性に関しても同様の意欲的な進化が表れているのかもしれない。
 ゆずの1年半ぶりとなるアルバム『FURUSATO』。前作『WONDERFUL WORLD』以降にリリースされたシングル曲からもアーティストとしての成熟ぶりが充分窺えるのだが、そのシングル曲を含め、アルバムを通して聴いてみると改めてそれを実感出来るだろう。
 ゆず初の共作で北川君のキャッチーなメロディと熱いパッションに岩沢君のシニカルな世界観が引き起こす化学反応が絶妙な「シシカバブー」、「栄光の架橋」の時とはまたひと味違う、懐が深いと言うか良い意味で少し上の視点から描かれている新たな応援ソング「虹」、或いは未知の領域ともいえるエロPOP?チューンの「いちご」だったり…現状に留まることなく進化する彼らの今が凝縮されている。そんなシングル曲、タイアップ曲とアルバム・オリジナル曲とのバランスも絶妙で、アルバム曲ではアコースティックやライトPOPな雰囲気を散りばめた、昔ながらのゆずらしさを感じさせてくれるのも嬉しいところ。北川君自らがアフリカの大地を踏みしめ、そこで感じた想いや葛藤の中で生まれた「はるか」や屈指のバラード曲「二つの言葉」などシングル曲以外も名曲ぞろいの本作だが、中でも「スーパーマン」はPOPでありながら控えめなアレンジに控えめなヒーロー願望がどこか岩沢君らしく、作品中でも心地良いアクセントとなっている爽やかな曲だ。
 今作のプロデューサーには蔦谷好位置、寺岡呼人に加えて島健を迎えて制作され、今まで以上に感情的で心に染みる楽曲を中心に組み立てられている。が、一方でいつの間にか変化しているように見えるスタンスや音楽性の裏には、変わることなく持ち続けている彼らにしか描けないキャンバスがある。それこそがきっと彼ら自身、リスナーにとってのゆずの"FURUSATO"なのだろう。今作を聴いて、そんな事も感じた。

Text by 森 祐一郎

『FURUSATO』
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SENHA&Co.
10月7日発売
CD
SNCC-86919
¥3,150(税込)

★収録曲
1. Overture〜FURUSATO〜 / 2. 虹(Album Version) / 3. 逢いたい / 4. 二つの言葉 / 5. Interlude〜フルーツ☆パラダイス〜 / 6. いちご / 7. スーパーマン / 8. はるか / 9. Yesterday and Tomorrow / 10. シシカバブー / 11. レストラン / 12. ゼンマイ / 13. Interlude〜はるかな旅路〜 / 14. みらい

通算9枚目のオリジナル・アルバムは浅田真央出演のCMソングでも話題の「虹」、ドラマ主題歌「逢いたい」、TOYOTAラクティスCMソング「Yesterday and Tomorrow」などタイアップ曲を多数収録した豪華内容でゆずの今が凝縮されている。初回仕様は三方背ケース、4面デジパック仕様、36Pブックレット付き。

【ゆず Official Website】http://www.senha-yuzu.jp

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