パール・ジャム of Groovin2009

ARTIST PICK UP

パール・ジャム

パール・ジャムの移籍第1弾アルバム。約36分という短い時間の中に、
ストレートで、濃厚で、激しくて、奥深いロックが詰まっている!

(初出『Groovin'』2009年9月25日号)

パール・ジャム-A.jpg 1980年代後半から90年代初頭にかけて、イギリスではポストパンクとしてニュー・ウェイヴが台頭した。パンクの尖がったところも残しつつ、音楽的にはより洗練されたイギリスのアーティストは当時とても魅力的に見えた。いつしか、イギリスの音楽はかっこよくて、ハード・ロックに代表されるようなアメリカのロックは自分には合わないと、今にしてみれば、大いなる"若気の至り"なことを平気で言っていたものである。そんな中、僕らの前に現れたのが、アメリカの所謂「オルタナ」シーンの存在である。ダイナソーJr.やピクシーズなど、なんとなく知っていたものの、意識するようになったのは、ニルヴァーナやパール・ジャムなどの「グランジ」のムーヴメント以降だった。この頃、レッド・ホット・チリ・ペッパーズの存在も知った。とにかくかっこよかった。これを境にアメリカ発のロックに対する偏見(?)もすっかり解消した…。
 まあ、なんとなく若かりし頃を思い返してしまいましたが、さておき、パール・ジャム、3年ぶりのオリジナル・ニュー・アルバムである。ユニバーサル移籍第1弾となる今作『バックスペイサー』のプロデュースは、グランジ・ムーヴメント全盛の頃、『VS』(1993年)から『イールド』(1998年)までを手掛けたブレンダン・オブライエンである。本作は先行シングル「ザ・フィクサー」を含む11曲でトータル36分、1曲平均3分ちょっとである。昔聴いたアルバムは、(レコードだったからかもしれないが)みんな短かった。あっという間に終わった。でも、むちゃくちゃかっこよかった。それらを彷彿とさせる、ロックがもっとも輝いていた頃の圧力、疾走感が味わえる。
 パール・ジャムのメンバー、気がつけば、みんな40代である。商業ロックへのアンチテーゼとして現われ、商業的な成功という矛盾を抱えていた1990年代、そしてカート・コバーンの死。2000年代には、米ロック・シーンの先頭にいた。個々の活動、映画のサントラへの参加など、いろいろあった…。それらを経ての原点回帰である。2009年、"00年代"も終わろうとしている。僕らもいろいろあった。彷徨った。ゆえにこのアルバムが原点回帰を促しているようでもある。

Text by 松本真一

『バックスペイサー』
パール・ジャム-J.jpg




ユニバーサル インターナショナル
9月30日発売
CD
[初回限定特殊パッケージ盤]UICO-9047 ¥2,500(税込)
[通常盤]UICO-1171 ¥2,200(税込)

アメリカ以外での配給先をユニバーサルに移しての第1弾となる通算9作目のオリジナル・アルバム。90年代の彼らのアルバムを手掛けたブレンダン・オブライエンとのタッグが復活。約36分の凝縮された作品。ライヴ音源を2公演分ダウンロードできる特典あり!先着特典はB2告知ポスター。

【パール・ジャム メーカーサイト】http://www.universal-music.co.jp/u-pop/artist/pearljam/index.html

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