レオナ・ルイス of Groovin2009

オーディション番組の勝者から世界的ディーヴァへ。
〈20年に1度の奇跡〉と謳われるUKの歌姫、第2章が開幕！

（初出『Groovin'』2009年11月25日号）

　2008年から2009年にかけて、もっともブレイクした新人といえば、〈20年に1度の奇跡〉と謳われるUKの歌姫、レオナ・ルイスだ。オーディション番組『X-ファクター』での優勝をきっかけに、アルバム『スピリット』で華々しくデビュー。クライヴ・デイヴィスとサイモン・コーウェルという英米の名プロデューサーによる最強タッグのもと、ダラス・オースティンやNe-Yo、スターゲイトといった旬のヒット・メイカーが集結したこのデビュー・アルバムは、世界12ヶ国で1位を獲得。UK出身アーティストとしては史上初となるデビュー・アルバムでの全米チャート初登場1位という快挙を成し遂げ、ホイットニー・ヒューストンやマライア・キャリーに次ぐ逸材として一躍トップスターに躍り出た。北京オリンピック閉会式では、次回開催地であるロンドンの〈顔〉として、レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジとともに「胸いっぱいの愛を」を披露。新人離れした堂々たるパフォーマンスで世界中を魅了した。また、第51回グラミー賞では、最優秀レコードを含む3部門にノミネート。惜しくも受賞は逃したものの、その存在感をより一層強めたことは間違いない。
　デビューからわずか2年とは思えないほど、次々と快挙を達成しているレオナが、いよいよニュー・アルバム『エコー』をリリースした。数々の記録を打ち立てたデビュー・アルバムに続く作品となるだけに、相当なプレッシャーだったのではないかと思いきや、逆に沸々と湧き上がるものがあったようで、海外メディアのインタヴューで次のように語っている。「私はシンガーとしても、ソングライターとしても、パフォーマーとしても進化したわ。このアルバムでネクスト・レヴェルの歌を聴かせること、そして何を成し得たのか示すことが重要なのよ」。
　アーティストとしての新たな決意と自信を持って臨んだこの『エコー』には、前作に負けず劣らず、強力な作家陣が集結。世界的ヒットとなったデビュー・シングル「ブリーディング・ラヴ」を手掛けたライアン・テダー、バックストリート・ボーイズやブリトニー・スピアーズらの作品で知られるマックス・マーティン、グラミー受賞歴を誇るジョン・シャンクスのほか、あのジャスティン・ティンバーレイクも楽曲を提供している。また、レオナ自身も全13曲中8曲のソングライティングに参加。前作以上に楽曲制作に密接に関わっており、より〈自分らしさ〉を反映した1枚に仕上がった。
　今作のオープニングを飾るのは、配信サイト等ですでに話題のリード・トラック「ハッピー」。〈居場所は自分で見つけるわ　私はただ幸せになりたいだけ〉というメッセージが印象的なミディアム・チューンで、彼女自身の人生におけるスタンスを表すかのような1曲となっている。そのほか、ロック・ドライヴィンな「ラヴ・レター」、洗練されたエレクトロ・ポップ「アウタ・マイ・ヘッド」、中東フレイヴァーを漂わせる「ブレイヴ」、オアシスのカヴァー「ストップ・クライング・ユア・ハート・アウト」など、ヴァラエティに富んだ楽曲群を収録。5オクターヴの声域を駆使した圧巻の歌唱力はもちろん、深みを増した豊かな表現力にも注目だ。
　この『エコー』を携え、2010年には初のワールド・ツアーを開催することも決定しているレオナ。来年も彼女から目が離せない！

Text by 池 佐和子