FACT of Groovin2010

ARTIST PICK UP

FACT

今年のロック・フェスはこれを知らなきゃ始まらない!?
噂の"逆輸入"5人組バンドFACT、全世界待望の2ndアルバム到着。

(初出『Groovin'』2010年1月25日号)

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 音楽にかつてあった時差という概念が薄まって久しい。アーティストの新曲や情報は今や、解禁とともに動画サイトなどのインターネットを介してあっという間に世界中と共有される。そんなわけで、私たちが日頃触れている音楽は出来立ての熱を失うことなく日夜世界中から飛び込んできているのだけれども、同時にそれは日本の音楽も世界へ向けて絶え間なく発信されているとも言える。
 そのように国内よりも海外での人気・評価の高い"逆輸入アーティスト"の中で、今特に注目を集めているのがこのバンド、FACTだ。国内では知る人ぞ知る存在だったのだが(私も聴き始めたのは本当につい最近)、去年のサマソニへの出演で知名度はより高まったように思う。そしてその理由は届いた音源を聴いたら、深く納得のいくものだった。
 変に洋楽らしいのだ、というと少し語弊があるだろうか。つまり、いい意味で邦楽らしさがない、非常にクリーンでハードな音が詰まっている。細かいところを挙げていくならば、少し高めのトーンで歌われるメロディ・ラインはシンプルで、アクセント的に織り交ぜられたスクリームも耳にさらりと入ってくる。だがそんなとっつきやすさに浸れる一方で、変拍子や休符をはさんでくる多彩な曲展開、ぷりっと厚みのある音でメロディアスなギター、安定感のあるベース、デス・メタル/ハードコアを思い起こさせる高速ツー・バス・ドラムの音に意識は飽きることなく惹き付けられ、振り回される。このアルバムの中で言うと、先行PVとして既に年末から流れている「slip of the lip」の他に、「this is the end」「part of it all」などがその最たるものだと思う。ぱっと聴くとパンクっぽいキャッチーさが印象に残るのだけど、予想もしていないところで飛び込んでくるハード・ロック的要素やダンス・エレクトロニカ色(この場合はどちらかと言うとポスト・ロック色が強いのかも)も聴き逃せない。その一端は、既に発売されているメジャー及び世界デビュー・アルバム『FACT』の配信ver.で、ブンブンサテライツがRemixで参加していることからもうかがえる。ちなみに『FACT』内ではあの「戦メリ」こと「merry christmas mr. lawrence」をカヴァーしているが、今回のアルバムにも1曲、ニヤリとできる曲がある。が、それは聴いてのお楽しみとしておこう。
 さて、そんな彼らではあるが、まずはPVを見ずに音のみを聴いてもらいたい。PVを見たらきっと、能面をつけたメンバーの姿と邦楽離れした音に、圧倒されてしまうだろうから。

Text by 柴 友里

『In the blink of an eye』
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MAXIMUM10
発売中
CD
MXMM-10010
¥2,690(税込)
全世界待望の2ndアルバムは、前作のキャッチーさもそのままに、よりアグレッシヴかつ独特の「サウンドラッグ」に昇華!


【FACT OFFICIAL WEBSITE】http://factjapan.com/index.html

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