シャーデー of Groovin2010

ARTIST PICK UP

シャーデー

あの黄金の吐息が10年ぶりに復活…。世界中を魅了するクール・ビューティー、
シャーデーが〈愛の戦士〉として帰ってきた。

(初出『Groovin'』2010年2月25日号)

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 神秘的でエキゾチックなクール・ビューティー…。1984年のデビューから26年、その時間の経過と同じ分だけシャーデー・アデュも歳をとったわけだが、彼女のイメージはデビュー当時とまったく変わらない。いや、ミステリアスな美貌や気品と知性を湛えたセンスなどは、キャリアを重ねることでむしろ奥行きを増しているのではないか。
 そんなカリスマ的な輝きを放つ唯一無二のヴォーカリストであるシャーデー・アデュ率いるバンド、シャーデーが、実に10年ぶりとなる待望のニュー・アルバムをリリースする。四半世紀にわたる活動の中でスタジオ・アルバムがわずか5枚と、もともと寡作で知られる彼ら。3rdアルバム『ストロンガー・ザン・プライド』から4thアルバム『ラヴ・デラックス』まで約4年、そして4thアルバムから5thアルバム『ラヴァーズ・ロック』までに約8年という歳月を要したが、今回はそれ以上に長いインターヴァルだ。首を長くして待ち侘びていたファンも多いことだろう。
 グラミー女性最優秀ポップ・ヴォーカル・アルバム賞を受賞した2000年の『ラヴァーズ・ロック』に続く、通算6枚目のスタジオ・アルバムとなるこの『ソルジャー・オブ・ラヴ』。まずはアート・ワークに写るシャーデー・アデュのうしろ姿に目を奪われる。50歳とは思えないしなやかで凛とした背中に、〈変わらぬ姿で彼女が帰ってきてくれた〉と嬉しく感じたのは私だけではないだろう。タイトル・トラックでありアルバムからの1stシングルとなる「ソルジャー・オブ・ラヴ」は、これまでにもシャーデーの作品に多数関与し、マックスウェルやコリーヌ・ベイリー・レイらとの仕事でも知られるマイク・ペラが共同でプロデュースを担当。バンド・メンバーであるスチュワート・マシューマン(g)、アンドリュー・へイル(key)、ポール・スペンサー・デンマン(b)の3人がソングライティングを手掛けており、乾いた重めのビートに物憂げな歌声が絡み合うナンバーに仕上がっている。どこまでも広がる荒涼とした大地に〈愛の戦士〉として佇むシャーデー・アデュ……そんな情景が目に浮かんでくるようだ。本稿執筆時点で実際に聴くことが出来たのはこのタイトル・トラックのみなのだが、海外メディアが伝えたところによると、同曲の他には、うねりのあるヴァイオリンとシンプルなドラムに乗せて元恋人への思いを綴った「The Moon And The Sky」や、ストリングスやピアノ・ストローク、タンバリンを効果的に取り入れた「Morning Bird」、ギターと口笛に彩られたカントリー・テイストなラヴ・ソング「Be That Easy」、シャーデー・アデュ自身の人生における苦悩が垣間見えるような「Bring Me Home」、ドラムン・ベースのビートをフィーチャーした「Skin」等が収録されているという。従来の魅力を踏襲しつつも新たな試みにも挑戦しているようなので、今作に対する期待は高まるばかりだ。
 なお、シャーデーは、今年で30周年を迎える英国ブリット・アワーズにて、デビュー・アルバム『ダイヤモンド・ライフ』が「BRITs Album Of 30 Years」にノミネートされている。四半世紀以上にわたり愛を歌い続けてきた彼らは、これからも私たちに上質なラヴ・ソングを届けてくれることだろう。

Text by 池 佐和子

『ソルジャー・オブ・ラヴ』
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SMJI
3月3日発売予定
CD
EICP-1324
¥2,520(税込)

グラミー女性最優秀ポップ・ヴォーカル・アルバム賞を受賞した前作『ラヴァーズ・ロック』以来、10年ぶり通算6枚目となるオリジナル・アルバム。どこか荒涼としたビートに物憂げな歌声が絡むタイトル・トラックをはじめ、彼らならではの愛の世界が展開する珠玉の1枚。日本盤はCD-EXTRA仕様で「ソルジャー・オブ・ラヴ」のPVを収録。

【シャーデー メーカーサイト】http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/ES/Sade/

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