私の中のあなた

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姉を救うために生まれてきた少女がついた、ひとつの嘘とは?
長女の死に直面した家族が育む、愛と涙の物語が遂にDVD化!
©MMIX New Line Productions Inc. All Rights Reserved.                                (初出『Groovin'』2010年2月25日号)

 白血病の娘を助けるためにはドナーが必要だと知った両親が、遺伝子操作でもう1人の子供を作る…。要するに、姉のために臍帯血、輸血、骨髄移植などをする必要性から生まれてきた少女。それが本作の主人公だ。この設定だけで十分衝撃的。原作はフィクションの小説なので、実際にあり得る話なのかは分からないが、観客が興味を持つ取っ掛かりとしてはあまりにも斬新な設定なのではないか。私の中のあなた場面写真1.jpg
 映画は、長年姉のドナーとなってきた11歳の

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妹アナが、腎臓移植を拒んで両親を相手に訴訟を起こすところから始まる。僕は当初、妹アナの人権問題が本作のテーマなのだろうと思って観ていた。しかし物語が進むにしたがって、それは大きな間違いだったと知ることになる。妹アナが雇った敏腕弁護士(アレック・ボールドウィン)と、元々弁護士だったアナの母(キャメロン・ディアス)が法廷で戦う場面をはさみながら、じっくりと描かれていくのは、長女のケイトが白血病を発症して以来強い絆で繋がっていく家族の愛の歴史だ。こんなにも強い夫婦愛、親子愛、姉妹愛を見せられては、人権問題などという"個"がテーマなわけがないと観ている者は気付く。そして最後に、妹アナが腎臓移

植を拒んだ本当の理由が明らかになる。
 こんなことを言っては不謹慎かも知れないが、本作を観終った後に僕は、何事も無く一見幸せそうに見える家族より、何か障害や事故があった家族の方が実は深い愛情や信頼で繋がっていて、結果的には幸せなんじゃないかと思ってしまった。映画のラストで白血病のケイトが「私は幸せだった」と呟くが、観客の誰もがこの言葉を信じるはず。だからこそこの映画は、泣きながらも微笑むことができるのだ。
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Text by 高瀬康一

『私の中のあなた』
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ハピネット
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[DVD]BBBF-8560 ¥3,990(税込)
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全米を感動に包み込んだベストセラー小説を、『きみに読む物語』のニック・カサヴェテスが映画化。ほぼノーメイクで初の母親役に挑戦したキャメロン・ディアス、『リトル・ミス・サンシャイン』での存在感が印象的だったアビゲイル・ブレスリンらの、感動的な演技も見どころ。DVD初回分にはブックレット封入、アウターケース付きの特典あり。

※写真は[DVD]初回分のジャケットです。

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