セシル・コルベル

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セシル・コルベル

スタジオジブリ最新作に新風を吹き込むケルト文化圏、
フランス・ブルターニュ地方出身のトラッド系歌手/伝統ハープ奏者、登場!

(初出『Groovin'』2010年3月25日号)

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 ひと目でジブリ・アニメとわかるタッチで描かれた少女の愛らしい横顔からは想像もできないエキゾチックな世界に意表を突かれる。スタジオジブリ最新作『借りぐらしのアリエッティ』主題歌「Arrietty's Song」。哀切を帯びた旋律。郷愁を呼び覚ます音色。よく聴けば片言の日本語だ。歌っているのは、フランス北西部のブルターニュ地方、フィニステール生まれのセシル・コルベルという名の女性シンガー/ハープ奏者だ。2005年から現在までに3枚のアルバムを発表しているが、これまでは知る人ぞ知る存在に過ぎなかった。大のジブリ・ファンを自認するその彼女が、一通の手紙と自身のアルバムをスタジオジブリ・鈴木プロデューサーの元へと送付。それがキッカケとなり、今回の起用が実現したという経緯がある。
 主題歌シングルと同時リリースされる、セシルにとって初の日本盤となる同映画のイメージ歌集アルバム。プロローグ「もうひとつの世界」から始まり、主題歌の英語ヴァージョン、宮崎 駿の着想がモチーフの「荒れた庭」に、登場人物の心情を描いたナンバーを交えながら、エピローグ「朝日の中の旅立ち」、エンドロール「Arrietty's Song」の日本語ヴァージョンまで全14曲。ジャケット・ワークも含めて、さながらサウンドトラックのアナザー・サイドといった趣の作品ではあるものの、すべての曲を本人と共同制作者、サイモン・キャビーらが手掛けるという、オリジナル・アルバムの要素も併せ持っている。いずれの曲もメロディアスで、キュートで甘いセシルの歌声と彼女の弾くケルティック・ハープに、ピアノ、ストリングス、民俗楽器を加えたアコースティックな色彩のサウンドは風通しよく、親しみやすい。
 この異国のシンガー・ソングライターの登場が一過性の話題で終わることなく、ケルト音楽とジャパニーズ・ポップスとの橋渡し的な存在になれるかどうか、今後も要注目だ。

Text by 篠原美江

『Kari-gurashi 〜借りぐらし〜』
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ヤマハミュージックコミュニケーションズ
4月7日発売
CD
YCCW-10109
¥2,500(税込)

今夏公開のジブリ映画『借りぐらしのアリエッティ』の主題歌に抜擢されたセシル・コルベルによる、同映画のオリジナル・イメージ歌集アルバム。主題歌の日本語/英語ヴァージョンに加え、物語に寄り添った美しきケルティック・ミュージック、全14篇を収録。映画「借りぐらしのアリエッティ ミニ本」封入。

【セシル・コルベル オフィシャルサイト】http://www.cecile-corbel.com/jp/home.html

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