#118 the GazettE of SPECIAL INTERVIEW

前作から2年。ライヴ・ツアーを精力的にこなし、辿り着いた1つの到達点とも思えるニュー・アルバム『DIM』がリリースされた。本誌ではthe GazettEのVocal、ルキにメール・インタヴューを敢行。その答えから、最新作を紐解いてみよう…。

（初出『Groovin'』2009年7月25日号）

　作品を重ねるごとに、より人間の深部に向かってきたようにも思えるthe GazettE。最新作となる『DIM』は、妄想と狂乱の間で悶えるような、しかしながら柔らかで耽美な世界も覗かせるような、危うい世界観を持つ作品に仕上がった。

−−：まず、アルバム・タイトル『DIM』に込められている意味を教えてください。
ルキ：人間のギリギリの世界。
−−：2〜3曲おきにインスト曲が入ったことで、かなりコンセプチュアルな印象を受けました。このような形をとった理由はありますか？
ルキ：1曲1曲ではなく、1枚としてどうなのかと考えて、インストを入れる方向になりました。
−−：オープニングのインスト曲「「剥離」」はかなり混沌とした幕開けですが、どんな意味を込めましたか？
ルキ：（人間の）内面のドロッとした部分を表現したらこうなりました。
−−：「DISTRESS AND COMA」と「白き優鬱」は印象的なバラードですね。この2曲に挟まれたピアノ・インスト曲「「感触」」はどのような位置づけでしょうか？
ルキ：「白き優鬱」の前説みたいなものですね。

　前作の『STACKED RUBBISH』ではヴァラエティ豊かな楽曲群が収録されていたが、本作の楽曲はミクスチャー的でハードなサウンドを持つ曲、幻想的なバラード・ナンバーの主に2種類で構成されている。楽曲が見せる表情自体は少なくなったものの、そこに広がって行く壮大な世界観は前作を遥かに凌駕している。その理由の1つは、5つのインスト曲の存在にある。反転文字で記された「「子宮」」を中心にバランス良く配置された5つのインスト曲たちは、妄想と狂乱の間を緩やかに繋ぎ留めた。その結果、1枚の作品として世界観を確固たるものとし、より広がりを見せたのだ。

−−：今回の作詞過程で心がけたことがあれば教えてください。
ルキ：シンプルに見えて、裏を感じられるように言葉を選びました。

　今作が持つ壮大な世界観の理由のもう1つは、今まで以上にシンプルな歌詞にあると思う。例えばバラード曲「泣ヶ原」では、ファンタジックで耽美なイメージを持つワードが並んでいる。そのシンプルな言葉は、リスナーそれぞれに様々なイメージを持たせる。また、含みを感じさせる組み合わせは想像力を更に掻き立て、自らの内側に存在する愛憎や虚無や孤独…つまりは、果てのない自分自身の感情と対峙させられるのだ。
　だが、これほどの完成度をもっても、表現したい全てを銀盤1枚に収めることは出来ないらしい。

−−：the GazettEにとって、ライヴとは何ですか？
ルキ：CDで見せることが出来ない世界がLIVEだと思っています。LIVEの為にCDを出している。

　そう、the GazettEはライヴ・バンドなのだ。前作『STACKED RUBBISH』をリリースした後、約1年間をかけて海外を含むあらゆる都市で精力的にライヴ活動を展開し、成功を収めてきた。そして本作リリース直後には、間髪入れずに「the GazettE TOUR 09 -DIMSCENE-」がスタートする。

−−：ツアー・ファイナルを国内有数のキャパシティを誇るさいたまスーパーアリーナで行うにあたり、心境をお聞かせください。
ルキ：大きな会場でたくさんのファンが楽しむ姿を見たい。それが自分たちのパワーになるので。
−−：すみやのホーム・グラウンドである静岡のライヴでのオーディエンスにはどのような感触を抱いていますか？
ルキ：とても優しい街かなって（笑）。

　残念ながら今回のツアーには静岡公演は含まれていないが、是非とも近隣の会場、出来ればツアー・ファイナル会場まで足を延ばして、アルバムだけには収められなかった圧倒的な世界観を思う存分に体感して欲しい。

インタヴュー＆構成：『Groovin'』編集部