#120 YU-A of SPECIAL INTERVIEW

SPECIAL INTERVIEW

YU-A

童子-Tとの「願い feat.YU-A」から始まったのYU-Aのソロ・プロジェクトが遂にファースト・アルバム『You Are My Love』に到達。「この作品を聴いた、みんなの反応が本当に楽しみ」そう語るYU-Aは、今、自身の音楽活動を心から楽しんでいる。リスナーに寄り添いながら、等身大のメッセージを発信し続けるYU-Aにアルバム・インタヴュー!Webでは、完全版でお楽しみください。

(初出『Groovin'』2009年9月25日号)

YU-A_メイン-A.jpgーー:まずはアルバム制作を終えた率直な感想を聞かせてください。
YU-A:良いアルバムができたと思います。今回は全曲同じプロデューサーさんなんでバランスを見つつ、同じ恋愛の曲でもいろんな形があるので1曲1曲はっきりと色をつけるようにしました。リリックは全部書かせてもらったんですけど、私が今思っていることと、女の子たちが何を考えて毎日生活をしてるのかってことは、常にいつもリサーチしていて。それを、今の私ならどう表現するのかってことに気を付けましたね。そうすることによって、みんながもっと主人公になれる曲ができたと思います。みんならしいし、それが私らしくもあるっていう、1stアルバムらしい作品になったと思いますね。
ーー:童子-Tさんとの「願い」が多くのリスナーに受け入れられたことは、アルバム制作に影響を与えていますか?
YU-A:今のYU-Aがあるのは、あの曲があってのことだと思っています。やっぱり「願い feat.YU-A」はソロ・デビュー前だったので、ああいう切ない曲を歌ったのは初めてだったんです。録り終わった時にも良い曲ができたなと思ったんですけど、でも私のことをみんなはあまり知らないし、あの童子さんのアルバムに入っていた人たちは有名な人ばかりだったので、大丈夫かな?って不安はあったんです。でも着うたをきっかけに、「大好きです」っていう言葉をくれたりして、本当良い曲を作れたんだってことを改めて実感したました。それがあって、私の声はこういう曲調に合ってるのかなってことに自信もつきましたね。
ーー:Foxxi misQ名義の時とは全く違う雰囲気ですもんね。
YU-A:そうですね、上から目線の激しい曲をやってたので(笑)。私の中では、今やることに少し抵抗があったりもしたんです。可愛らしい女の子だとか、ファッションが似合わないと勝手に思っちゃっていたので。それを壊して自分の中でも知らなかった部分をどんどん引き出してくれてたことは、すごく驚いてるし、ありがたいなと思っています。
ーー:初めて童子-Tさんの歌詞を読んでみた時はどうでした?
YU-A:童子さんって「本当は女の子なんですか?」ってぐらい、女の子の気持ちをすごい分かってますよね。だから私も共感する部分があって。その言い回しとかも、学んだ部分がありますね。自分とのギャップがあると勝手に思っていたけど、実際に歌ってみたら全然そんなことはなくて、逆にすごく近いものだったと思っています。
ーー:アルバム曲だと「嫌いになれたら」はまた女の子が共感してしまいそうな歌詞ですね。
YU-A:男の子も女の子も100%好きなんだけど、その100%にギャップがあって。私もその感じは自分でも経験したりして、周りからも聞いてたりして、歌いたいなと思っていたテーマだったんです。男の人って口に出さない人がけっこういて、恥ずかしいとか、なかなか優しくできなかったりする人も多いと思うんですけど。お互いに想ってても、なんか、そこにズレを感じちゃってる女の子も多いと思います。そういう時って、自分は好きだから、自分からは別れられないけど、でも離れたいっていう。そういう微妙な気持ちを書きました。
ーー:この歌の「冷たい雪の中で〜」の部分の詞が好きです。
YU-A:ここの詞、はじめは違う詞だったんですよ。この曲を全部書き終わって、もう1回チェックした時に、ちょっと季節感を入れたいなって。アルバムが出る時期は秋なんですけど、冬の曲にしようって。"冬"というだけでちょっと切なくなるじゃないですか。PVも雪が降っていて冬っぽい感じなんです。
ーー:それから、「シンデレラ」という曲はタイトルがおとぎ話なのに…?
YU-A:メルヘンの曲ではない、リアルな感じですね。そのギャップがちょっと面白いかなと思います。タイトルでここまで「シンデレラ」って言い切っちゃって良いのかな?っていう葛藤もありつつ作ったんです。出会ったばかりの2人が一晩で恋に落ちちゃう感じを、シンデレラというか、お姫様にたとえて、可愛らしい女の子が書けるかなって。"ガラスの靴"だとか、"24時をすぎたら"、とか、そういうキーワードも入れてみました。
ーー:年下の男の子に惹かれちゃうお話ですよね。
YU-A:相手は年下なんだけど、自分がけっこう惚れちゃったみたいな。ちょっとシャイな男の子、恥ずかしがり屋の男の子を書きたかったんですよ。
ーー:いろんな恋愛のシチュエーションがありますね。
YU-A:やっぱり私の場合はトラックの影響が大きいですね。テーマを先に決めて書くタイプじゃないので。トラックを最初に決めた段階で、だいたい内容が決まっていきます。例えば2ndシングルの「夕日」は、恋人や友達との絆を書いた曲なんですが、それもやっぱりトラックを聴いた時に、地元の公園が出てきて、夕暮れにその公園からみんなで帰っていく感じがパッと出てきて、そこから書き始めたんです。
ーー:懐かしい友達に会いたくなる曲ですね。
YU-A:なりますね。私もこの曲を書いている時、けっこう寂しかったんです。何も分からずに東京に出てきて、不安なことがいっぱいあったんですけど、地元の友人が「絶対にYU-Aならできるよ」って抱きしめてくれたことを今でも覚えていて。それが支えになったし、そういう絆を大切に、忘れないでほしいなと思います。
ーー:応援してくれた友達を思い出すだけで、また自分が頑張れたりするんですよね。
YU-A:この曲を書いてリリースした時とか、友達も「めっちゃ良いじゃん」って言ってくれて。その後に札幌で歌ったら、友達も泣いてるから、私も泣きそうになったんですけど。そういう気持ちを忘れずに、成長していきたいなと思っています。
ーー:アップ・テンポな曲では「Ah Year!!」がライヴで盛り上がりそうな感じですね。
YU-A:ソロでもダンスやアップ・テンポな曲もやっていきたいと思ってるんです。なので珍しいと思うんですけど、1曲の中にダンス・パートが入ってます。ライヴでみんなで盛り上がれる曲を入れたいなっていうのもあったので、コール&レスポンスをしやすい構成にしたりとか、遊びですかね。もうあんまり意味とかないです。ノリ。楽しいぜ、 イェイっていう。
ーー:やっぱりソロのYU-Aさんでもダンスを見れるのは嬉しいです。
YU-A:「逢いたい…」と「夕日」のc/wではアップ・テンポをやっていて、ステージによってはダンサーをつけて踊ったりもしています。これからもまたやっていきたいなぁと。やっぱり、好きなんですよね。
ーー:それに、YU-Aさんのラップの時の声はすごく耳触わりが良いと思うんです。
YU-A:低めで歌ってるからですかね?最初はこの曲よりも先にm-floさんの「the Love Bug」も録ってたんですね(『MF10 -10th ANNIVERSARY BEST-』収録)。VERBALさんの声は入らないってことだったんで、どうアレンジしようかな?って迷ってた時に、その場の流れでラップも録っていったんです。その曲があったから「Ah Yeah!!」もやろうと思ったんですね。
ーー:その「the Love Bug」に関しては、すでに一度LovesとしてBoAさんのヴォーカルで成立していた曲をカヴァーする難しさってありましたか?
YU-A:そうですね。制作当日まで、みんなどうなるか分からない状態で集合して、どんどん良いものを入れていこうという感じで作っていった作品です。今まであんまり、そういうノリで曲を作っていくことがなかったんですが、そういうインスピレーションが大事なんでしょうね。ユーモアがあるものだったりするし、いろんな人の意見が現場で出てくるし、作り込んでるのとは、また違うテンションの高いもの、温度の高いものができたと思いますね。
ーー:歌モノっぽいアルバムの中にもダンス・チューンがあるのは良いですね。
YU-A:けっこう驚くんじゃないかと思いますよ。私のことを「願い」から知ってくれた人も多いと思うので。あんまり喋らなくて、そんな動けません…運動苦手です、みたいな。そういう感じにも見えてる人がいると思うんで、すごい乙女チックな人だと思われてそうで。このアルバムをすごい聴いてもらえたら、どんな反応なのかなっていうのは楽しみですね。
ーー:今作にはEvery Little Thingのカヴァー曲「Time goes by」が収録されていますが、なぜこの曲を歌おうと思ったのですか?
YU-A:何か1曲カヴァーをしたいっていう話は始めからありました。私とプロデューサーでずっと選んでいて、最後に2、3曲が残ったんです。それを全部歌ってみたら「Time goes by」が1番しっくり、自分の声にも合っていて。この曲は、私が小学校5、6年生ぐらい頃の曲だったんですけど、ちょうどみんなでカラオケに行き始めたぐらいの年なんです。ひたすら歌っていた思い入れのある曲で。改めてリリックを読んでみるとすごく良くて、「あ、こんな素敵な詞なんだ」って再認識しました。何年経っても、良い詞は良い詞なんですね。曲の構成も、サビのパートが3ヶ所ともリリックが違ったりするのも面白くて、それでこの曲にしましたね。
ーー:持田さんの歌唱ってあんまり感情的な方じゃないですよね。
YU-A:そうなんですよ。私は逆だと思うんですね。せっかくカヴァーするのであれば、同じものにしても意味がないし、私らしくしたいって話をして制作にとりかかったので。レコーディングはエモーショナルな感じでしたし、他の曲に比べてR&B寄りなトラックにしてもらいました。そういう意味でも、持田さんの「Time goes by」と比較して聴いてもらっても面白いのかなと思いますね。
ーー:「Time After Time」も日本語詞でカヴァーしていますね。この曲を選んだ理由はありますか?
YU-A:プロデューサーさんが最初に持ってきてくれたんですけど。私ももちろん知ってる曲でした。サビの"Time After Time…"が何回も出てくるので、そのひっかかりがライヴでも、みんなに歌ってもらえるかなとも思ってます。
ーー:聴いた瞬間に反応しちゃいますもんね。
YU-A:日本人ってどうしても知らない曲だとおとなしくなっちゃうので、みんなの知ってる曲をやれば、それだけでテンションがあがったりもするんですよね。
ーー:英語詞に寄り添う日本語の歌詞は絶妙ですね。
YU-A:大変でしたよ(笑)。最後の方は一気に書いていった感じだったんで、気付くと同じ言葉を使ってる時とかもあって、やばいやばいと思って書き直したりとか。でも勉強になりました。自分って、こういう言葉が好きなんだなとか、こういうクセがあるんだなって発見もあったんですよ。それは今回のアルバム全体に言えることですね。十何曲も書いていると分かってくるんだなって。これを2ndアルバム、3rdアルバムに繋げていければなと思います。
ーー:CDのパッケージはどんな仕上がりですか?
YU-A:ジャケットの中面ではテーマを決めていて、いろんなYU-Aで撮らせてもらったんですけど、そういうところでも楽しんでもらいたいです。今回はショウ・ケースの中に私がいて、「逢いたい…」の時からドール感を意識しながらも、いろいろなテーマで撮りましたね。「Ah Yeah!!」なみに裏切ってるかなと思います。でも女の子はこういう風にいろいろ変身出来るんだなって思ってもらえたらすごく嬉しいです。
ーー:そのことはアルバムの中にもいろんな曲があるってことともリンクしてます?
YU-A:あ、そうですね、私も今思いました(笑)。その中の全部、ファッションも髪型もメイクも、ジャケット、PVとかも全部含めて、"YU-A"っていう作品としてみんなに届けたいんですよね。1曲1曲で終わりじゃないし、"ファッション"は"ファッション"じゃないし、トータルで楽しんでもらいたいなっていう想いで作りました。
ーー:シンガーとして今後の活動はありますか?
YU-A:リリックは私のソロ・デビューをきっかけにすることができたので、作曲の方も、メロディもちょっとずつ自分で作っていきたいなと思っています。それは新しい挑戦として、どこかのタイミングでできたら良いですね。あとは、今回のアルバムが1曲1曲大切に作っていけたように、これから先も良い曲を作るっていうことは絶対に忘れずにやっていきたいなと思ってます。良い曲を作れば、みんなにはちゃんと伝わるなってことを、この半年で実感したので。それが1番の目標ですかね。
ーー:最後に『Groovin'』読者に一言お願いします。
YU-A:リリース後にはひたすらリピートで聴いて、私も静岡にライヴをしに行きたいと思ってるので、その時は、笑うも良し、泣くも良しで、いろいろ感情を動かして楽しめたらなと思います。

(2009年8月24日/よしもとアールアンドシーにて)
インタヴュー&構成:秦 理絵(編集部)

『You Are My Love』
YU-A初回限定盤-J.jpg




YOSHIMOTO R and C CO., LTD
10月7日発売
CD
[初回限定盤]DVD付 YRCN-95132 ¥3,000(税込)
[通常盤] YRCN-95133 ¥2,500(税込)

ソロ活動のはじまりの曲、童子-Tとの「願い feat.YU-A」や「逢いたい」「夕日」などが若い世代を中心に支持を集めるYU-A、遂にアルバムをリリース。等身大の恋愛を歌ったラヴ・ソングをはじめ、「Startline」「Ah Yeah!!」など力強い表情も見せる1stらしい1枚。初回生産限定盤にはPVやメイキング映像を収録したDVD付き。

※写真は[初回限定盤]のジャケットです。

【YU-A official web Site】http://www.yu-a.fm/

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