甲斐名都

SPECIAL INTERVIEW

甲斐名都

ひたすらチャレンジし続けたという2009年を経て、約2年半ぶりとなるアルバムをリリースする甲斐名都。自らイメージを壊しながら辿り着いた、キラキラ輝くその場所の名は『カテドラル』!自身の恋愛観なども語ってくれた、約1万字にわたるインタヴュー完全版を大公開!

(初出『Groovin'』2010年1月25日号)

PART 1

甲斐名都-A.jpg

−−:あけましておめでとうございます。2009年は例年以上に忙しい1年だったのではという印象ですが、実際はいかがでしたか?
甲斐名都:そうですねー…。すっごい忙しかったというか…あっという間だったんですよね。1月〜2月頃は割とライヴもセーブしてて。で、自分のライブをもっとパワーアップさせたいっていうことで、他の人のライヴに行ったりとか、演技のワークショップに出てみたりとか、自分の引き出しを増やす為に色々やってました。3月頃からは「同じ空を見上げてる」の製作が始まって。ばたばたばたっとそこから今まで来ちゃったみたいな感じなんですよ。
−−:そんななかで、記憶に残っているイベントとかありますか?
甲斐:やっぱり、「同じ空〜」のリリースのときに、ディズニーの敷地内のイクスピアリでライヴをやらせてもらった事ですね。ディズニー映画『ボルト』のテーマ・ソングを、ディズニー・リゾート内のステージで歌えたのは凄く印象深かったです。そういうのってなかなか出来ないと思うんで。あとは、(『ボルト』の)試写会のライヴとかを全国で何本かやらせてもらって。今までライヴとは全く違うステージだったし。試写会の会場が大阪の厚生年金会館とか凄い大きかったりもしたし。そういう場所で歌ったのが普段のライヴにも生かされるようになったというか。その頃から、ピアノ弾き語りだけじゃなくて、サポートのギターの男の子と一緒に演奏したり、ピアノを弾く曲で立って演奏しながら歌ったり、新しい表現方法にチャレンジしながらやっていったんですよね。その集大成で年末のワンマン・ライヴ(「WONDER LIVE Vol.0」)をやったんです。それは本当にこの1年間、弾き語りに限らず、もっと例えばアクティヴな甲斐名都もみせたいとか、ギターも弾きたいとか、曲調も色々で、みんながワクワク出来るような…息もつかせぬというか、日常を忘れさせられる様なライヴをやりたいっていうのを2009年の頭に思って。それを凄い形に出来たんですよ。曲調的にも…例えば「同じ空〜」のような壮大なバラードとか自分にとっては結構チャレンジになった曲達と、「下北沢南口」とか、ずっとインディーズのころから歌ってきている曲達とが、ワンマン・ライヴで普通に共存できていたというか…。それも甲斐名都、これも甲斐名都だよっていうのをすごく自然に表現できたのが自分にとってはとても大きくて。だから、信じてやってきて良かったなあってのも凄く思ったし、2010年も、今回のワンマン・ライヴで確信した事を、もっと確実なモノにしていきたいなっていうのが凄いありますね。
−−:先日のワンマン・ライヴの為に、修行的な事を積み重ねてきたということをお伺いしましたが…。
甲斐:そうです。ワンマン・ライヴをちょっと封印したので。だから、凄い…良いライヴというか、これからの私の出発点にやっとなったなって感じがしてて。
−−:そういう意味でも「Vol.0」なんですね。
甲斐:そうなんです。
−−:その、うまくいったっていう感極まった感じが、その「ワンダースノウ」のところで出ちゃったんですね。
甲斐:何の話ですかね、それ(笑)。
−−:あれ?ちょっと泣かれていたように見えたんですけど(笑)。
甲斐:いやあ、それは…なんですかね…。2009年は本当にチャレンジして…自分に常にチャレンジを吹っかけてきた1年で。もちろん、その間にもライヴとかもやっていたし、執筆だったり、ブログとかでコメントをもらったりしていたんですけど、なんか…やっと…言葉が合っているか分からないけど…自分の為にやってた1年だったと思うんですよ、2009年は。もちろんお客さんの為でもあるんだけど、本当、自分に欲張りになった1年だったんで。でも、そんな状態の中でも、私のチャレンジをずっと見守ってくれた人たちが会場に来てくれて。そういうのを…なんて言うんですかね…本当、そこまで目を向ける余裕がなかったのかもしれなくて。今年は正直。でもやっと、あのワンマン・ライヴの時に、「自分の事はどうでもよくて、今日はお客さんの為だけにやろう」っていう気持ちにさせてもらえたっていうか。それが凄いありがたくて。やっぱりみんなが居ないと、聴いてくれる人が居ないと、ライヴも音楽も出来ないし。「ああ、本当、私ひとりで頑張ってるんじゃないや」っていうのを感じたら、ちょっと感極まりましたねー(笑)。
−−:凄い感動的でした。トータルで凄く良いライヴだったと思います!
甲斐:ありがとうございます!
−−:さて、今回は新作『カテドラル』についてお伺いしたいのですが、出来上がった直後の率直な感想を聴かせて下さい。
甲斐:ちょうど、2008年の10月くらいから作りためた曲を形にしたんです。今回の曲達は…他にも収録できなかった曲も沢山あるんですけど…デモを作っているときから「絶対今回は面白くなる!」って確信してたんで、早く形にしたかった。「カテドラル」っていうテーマも、実はもう1年以上前からあったものだし。1年越しに形になって…早く(みんなに)聴いてほしい!って感じですかね。
−−:この「カテドラル」っていう意味を教えて頂いていいですか?
甲斐:はい。"大聖堂"っていう意味なんです。ヨーロッパの街まちの、それらの中心部にある聖堂の教会みたいなものなんですけど、みんなが気持ちをリセットしたりとか、元気になる為に集まる場所なんです。で、自分の音楽やライヴが、皆にとってそういう場所でありたいなって気持ちが凄く有って。それで「カテドラル」ってタイトルをつけたんです。
−−:収録曲の選曲はどのように行われたんですか?
甲斐:等身大の26歳の女の子のリアルだったり悩みだったりを歌っている曲を特に集めているんです。「カテドラル」っていうタイトルを思いついた頃に、2009年は今までの甲斐名都っていうのを1度壊して、もっと自分にチャレンジをふっかけて新しい甲斐名都を見てみたい、って思ってたんです。そのときに「ステンドグラス」ってコンセプトが自分の中に浮かんで。元々あったモノを一度壊すけど、でもそれは壊れてもゴミではなくて。またそのバラバラになった破片を、色々な形に繋げてもっと良いものを作りたい。そういうコンセプトもあったので、今回は、曲調はとにかく色んなものを集めたんです。でもメッセージは、常に甲斐名都として伝えたい事、自分なりに、マイペースに、前向きにっていうコンセプトで、26歳の女性である私の目線でメッセージを伝えよう、っていう。そういう視点で選んでますね。
−−:前作『ナミダの成分』のときは、私小説的なお話を集めましたっていう印象が強かったんですけども、今回はよりリスナーを意識しているというか、リスナーに投げかけるメッセージ性が凄く強く出ているのかなって思いました。それは「カテドラル」っていうコンセプトが頭に浮かんでから変わって行ったものなんですか?
甲斐:というよりも、すごく自分自身の中の大きな変化なんです…年齢も有ると思うんですよね。今26歳で、友達も現場で出会う人も、年下の人が増えてきたりしてて。相談されたりすることも多いし、自分が示して行かなきゃ行けない年齢になってきたし。あとはその積み重ねた経験から音楽も自信がついてきたって言うのもあるんですけど。今までは、「頑張れ」とか自分が言う柄じゃないって思っていた事もあるし、本当に『ナミダの成分』のときは…まあ20〜22歳位までの、私のほんとありのままの悩みとか、「なんでだろう!」って納得いかないこととかを素直に表現しているんです。けれども今は、もちろん同じように悩んだりとかしても、私はこういう風に克服したいとか、だから皆もそうあってほしい、みたいな…聴いてくれる人に一歩踏み込んでメッセージを送りたいって気持ちに凄いなってて。まあ「同じ空を見上げてる」を歌ったのが凄く大きなきっかけになったんです。あの曲は本当に初めて、ストーリー性とか全く関係なく「信じる事が一番の勇気なんだよ」っていうメッセージを、凄いストレートな言葉で歌詞にしたから、そこで凄い吹っ切れたんですよね。本当は私は負けず嫌いなんですよ。もう本当に悔しいから絶対いつか笑ってやる!とか、どんなに悩んでいても、なにくそって思って頑張るし。涙の後には絶対に笑顔があるって、自分に言い続けているし。だから、そういう私なりのポジティヴなメッセージを聴いてくれるみんなに、ステージにせっかく立って発信出来るんだから、言ってもいいんだなって思って。今回はそういう曲が凄く多いですよね。
−−:そうですよね。歌詞を拝見してても、のびのびしているというか…直球が多いというか。
甲斐:そうですねー。
−−:1曲目の「愛 GIRL 夢 GIRL」から"加齢臭"って言っちゃったり(笑)。
甲斐:そこかぁ(笑)。そこらへんは、私元々凄いぶっちゃけちゃうんで。26歳の働く友達から聴いた話が基になってるんですけど。凄い働いて凄いクッタクタで帰るとき、通勤ラッシュに巻き込まれて電車の中で「もう、オヤジ臭えよ!」って思う、みたいな(笑)。正直なそういう気持ちを歌詞にしたら面白いかなっていう。
−−:凄い面白かったです。ちょっとビックリしますけどね(笑)。
甲斐:なんかね、音で聴くから柔らかく聴こえますよね(笑)。
−−:1枚通して、そういうぶっちゃけてる甲斐名都さんがちらちら覗いているようになったのかなって印象が強かったです。
甲斐:なんか、ぶっちゃけた方が、1人で鬱々と「やってらんないよー!」とか思うよりも、こうやって私が歌って、「それ分かる!」って聴いてくれる人が想ったら、凄い消化されるじゃないですか、悩みとか。私が声を大にして、ぶっちゃけてあげることで皆が明日も笑えるんだったら、全然そういう歌詞もいっぱい歌って行きたいし。
−−:ぶっちゃけることでリアルに感じるところもありますしね。
甲斐:クスって笑えちゃえば、それも悩みじゃなくなるし。
−−:そういうリアルで色とりどりな世界観が続く中で、個人的に引っかかったのが「ULTRA She」だったんですよ。この曲だけファンタジックな印象で。どなたかモデルさんがいらっしゃるんですか?
甲斐:これはIKKOさんがモデルなんです。IKKOさんて、どんな女よりも女じゃないですか。
−−:それはどういうところで…?
甲斐:誰よりも女になりたいから、女を研究しているというか。だから、努力してない女に対して厳しくて、きっと「そんなんじゃダメよ」って思ってると思う。でも、根本にあるIKKOさんの…葛藤だったり、苦しさだったり、そういうのを乗り越えて、今みたいな凄い有名になって煌びやかな格好をしていたりして。なんかそういうところに凄いインスパイアを受けて。自分の限界を超越していく底力というか。挫折だったり、くそーって思って涙を流したりとか、そういうところから生まれてくる気持ちっていうのは凄い大きいと思うんですよね…。で、「ULTRA She」っていうのは、いわゆる体操技の「ウルトラC」と掛けているんです。このタイトルがまず浮かんで、IKKOさんが凄い浮かんじゃったんですよ。ちょっと歌舞伎町的な感じもに匂わせつつ。「あいつを憎んで 手にした大逆転」っていうことも言ってるけど、それは決して後ろ向きな事を歌っている訳ではなくて。いろんな乗り越え方があると思うんですよ。前向きに答えを見つけるのもそうだし、「絶対あいつを見返してやる!」って思って出る力もあるし。色んな立ち向かい方というか、女の子なりのというか。そういう事を今回のアルバムでは言いたかったので。1曲目の「愛 GIRL〜」も「加齢臭」とか言ってるけど、それがその曲の(主人公である)彼女なりの乗り越え方というか。日常での発散の仕方だと思うんですよ。そういう色んな女の子像を書きたいなあと思って。
−−:アルバムを通して色々な主人公の女の子が出てきますが、それぞれに甲斐名都さん自身の強がりじゃないですけど、そういうところが現れてますよね。
甲斐:私の根っこにある気持ちが現れてますね。「ULTRA She」は凄い私自身に近いと思う(笑)。

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