#23 竹内まりや of SPECIAL INTERVIEW

SPECIAL INTERVIEW

竹内まりや

ベスト盤『インプレッションズ』以来、7年ぶりのアルバム『Bon Appetit!(ボナペティ!)』をリリースした、竹内まりや。大ヒット曲「ロンリー・ウーマン」「カムフラージュ」など5曲のシングル・トラックに新曲を追加した、ベスト盤を超える大充実のオリジナル・アルバムです。そして遂にまりやさんご本人へのインタビューが実現!『Bon Appetit!』についてはもちろんのこと、昔のお話から最近の音楽活動まで、たっぷりと伺ってまいりました。『Groovin'』ならではのスペシャル・インタビュー、最後までごゆっくりお付き合い下さい。

(初出『Groovin'』2001年8月25日号)

PART 1

P2竹内まりや記事用.jpg−−:まずは『Bon Appetit!』が完成しての率直なご感想を。
竹内:「時間がかかったな」っていう感じですね(笑)。1曲1曲に時間がかかったと言うよりは、その前に出したものから次までの時間が随分経ってしまったな、っていう感じですね。
−−:一番古いものが95年の録音ですから、6年間に渡ってということになりますよね。
竹内:そうですね。「今夜はHearty Party」を録音し始めた頃には、次のアルバムがここまで先になるとは思ってもいませんでしたからね。でもその間に(山下)達郎の『コージー』があって、ツアーがあって、『On The Street Corner 3』があって、それを待っている間に時間は経っていって…。振り返ってみれば6年ぐらいか、っていう感じでしたね。私のオリジナル・アルバムで言えば、『クワイエット・ライフ』以来9年あいてますけど。「思いがけず時間が経ってたな」っていうのが率直な感想で、だからといって何か「今回アルバムを久しぶりに出しますんで」というような特別な気負いとか、特別な売り文句があるわけではなくて、「よかったら聴いてみて!」ということで『Bon Appetit!』=召し上がれ!と名付けたんですけどね。
−−:この『Bon Appetit!』は、今までのアルバムとは違いましたか?
竹内:いや、全然違いませんね(笑)。スタイルは全く変わらないし、やりたいことの根底に流れているものも全く変わらないということを再確認した作業になりましたね。自分が好きな音楽のテイストとか世界というのは、相変わらずこうなんだという、そのワン・パターンさを自分で再確認したようなところがあって。
−−:先日『Bon Appetit!』を聴かせて頂いて思ったことは、まさにその通りで、6年前の録音も最近の新曲も、全く同じテイストで無理なく、違和感なく聴けるということだったんですけど。
竹内:それは嬉しいですね。そういう時代性みたいなことを意識して作ってきてはいませんでしたし、その都度要請のあったタイアップには合わせて作ってますけど、だからといってこの今の時代の息吹を盛り込もうとかそういうことはしてこなかったから、逆に(新旧の)曲が並んだときに時間的違和感というのは、そんなに生まれてはきていないと思うんですよ。またそういった類の音楽ではないですしね。
−−:そうですよね。また周りの流行とかに迎合して作ってしまうと、自分のスタンスで作れないということにもなりますよね。
竹内:そういうニーズがある人は、そういう使命を背負っているけど、世の中は私にそういうものを求めていると思えないから、だったら私に似合うことをやり続けようかなって思うんですよね。私の場合は長いこと在宅歌手をやっていて、それが私なりの伝え方だっていうことを多くの人が分かって聴いて下さっているので、だからあまりリリースの間隔があいたことに対しても、「今回もこのペースなのね」っていう(笑)。
−−:そうですね。ところでこの『Bon Appetit!』というネーミングは、どこから?
竹内:私はタイトルを思いつくとメモする癖があるんですよ。例えば「真夜中のナイチンゲール」とか「天使のため息」っていいかもなって思うと、タイトルを気がついたときにメモしておいてね。「ソウルメイト」って面白い言葉だな、とか。その中に『Bon Appetit!』も入ってた言葉だし、そこに(召し上がれ!)とか書いておいて。そこで今回アルバムのタイトルを決めなきゃいけないという時に、そのノートを紐解いて色々言葉を並べて、アルバム・タイトル候補ということで達郎や(所属事務所の)小杉社長に見せたりしたら、「ボナペティート」とか『Bon Appetit!』がいいんじゃない?っていうことで、それでこれに決めたんです。「たっぷり召し上がれ!」なら、色々な五目味のものが詰まっているっていうのにも合ってたし。五目弁当ですから、私のアルバムの場合は(笑)。「たっぷり召し上がれ!」なら言い得ているなって思って、それでこの言葉を選びました。
−−:さて『Bon Appetit!』は、95年の「今夜はHearty Party」から今年録った曲まで、まさにここ6年間の集大成みたいな作品なんですけど、特に90年代の曲に関しては今聴いた時に、ここはもっとこういう風にしておけば良かったとか、そういうようなことはありましたか?
竹内:それは限りなくありますよね。反省点は沢山あるけど、それも自分の歴史だから。例えば「今夜はHearty Party」はリミックスはしましたけど、歌までは歌い直してはないので。それはその時代の自分の声で、そこに自分の歴史が残る訳で、それをより巧い技術で歌い直したからといってより良くなるかっていうと、そうではないですからね。その足跡も一種の自分の歴史だから、それまでは変えないというか、ね。
−−:では今回の3曲のリミックスは、そういう観点で行われたんですね。
竹内:単純に『クワイエット・ライフ』の時とは違う、吉田保さんというエンジニアを迎えたので、それだったら全部吉田保さんの音にして音を統一させた方がいいということと、音質をさらに向上させたいということで。
−−:ではそれぞれの曲について、まずは1曲目の「毎日がスペシャル」から…。これは新曲ですよね。
竹内:新曲です。一番最後に書いた曲ですね。それもアルバムを仕上げようと思っていた間際にタイアップの話が入ってきて、「めざましテレビ」のテーマ・ソングということで。そういえば「めざましテレビ」っていつもお弁当を作りながら見ている番組だったので、朝だったらこういう元気な曲がテレビから鳴ったらいいかなって自分で想像して書きましたね。朝の「おはよう!」という感じがありましたから、じゃあアルバムでもトップで、ということで。
−−:で2曲目では一転して朝から真夜中で、「真夜中のナイチンゲール」となるんですが…。
竹内:そう、いきなり真夜中になっちゃうんです。バラードが2曲続くというのがいやでね。MDで曲順を色々と自分で考えたんですけど、「天使のため息」とか「カムフラージュ」とかのバラードをばらけさせるための位置としては、「真夜中のナイチンゲール」が最新シングルだったこともあって、2曲目になったんですね。この曲は「白い影」という中居正広君が主演のドラマの主題歌だったので、そのドラマの内容やキャラクターに限りなく近づけて書いているんですけど、このアルバムの中でも一番近づけて書いた曲かもしれない。
−−:そして3曲目の「ロンリー・ウーマン」ですが、これはリミックスですよね。
竹内:これは「義務と演技」の主題歌で、バリバリのキャリア・ウーマンが同じ会社の人と恋に落ちて…という話だったんですよね。キャリア・ウーマンは一見すごく華やかに見えてるんだけど、実はその裏に抱えてる孤独、みたいなことをテーマにしようと思って書いて。でもそれをゆっくりしたリズムで演ると、ちょっと重くなっちゃうから、軽やかなタッチの曲にしてそれを描いてみたんですけど。リミックスではね、エコーをちょっと取ったんですよ。
−−:4曲目「心はいつでも17才(seventeen)」は新曲ですよね。
竹内:そうですね。これはカネボウの「Woman's Beat大賞」という、全員女性で組んだプロジェクトのテーマ・ソングなんですね。女性のプロデューサーがやってきて私と話をしてて、その時に「最近ふと思うのは、私ってこの歳になっても高校生の頃と変わらずやんちゃで、それに愕然とすることがあるんですよ」っていうことを言ったんですよ。そうしたら「それをテーマにして曲を書いて下さい」って言われて。日常的な思いを歌い込んでいるが故に、ビートは女々しくなく骨太な曲調の方がミス・マッチで逆にいいかな、とか思って。だから曲調はちょっと男っぽいんですよね。音に関してはここのところコンピューターの打ち込みでの録音が続いてたから、そろそろスタジオで一発録りでリズム隊を入れてやりたいなって思ってね。それで青ちゃん(ドラマーの青山純)と(伊藤)広規を呼んできて、難波(弘之)さんのピアノで、「せーの!」でやろうって。今、そういうレコーディング方法は少ないでしょ?だから新鮮だった。昔はみんなそうだったのに。
−−:そうですよね。さて次の5曲目「とまどい」は、広末涼子さんへの提供曲ですよね。
竹内:そう、広末さんに書いたシングルのカップリング曲だったものですけど、達郎の「Sunday Song Book」というFMの番組で洋楽のカラオケに合わせて歌うというのを何回かやったんですけど、その中で広末さんに提供した曲を歌って下さいっていうのがあったんで、それで「MajiでKoiする5秒前」と「とまどい」を彼女のオケを借りてきて歌ったんですよ。そうしたら「とまどい」をCD化して欲しいっていうリクエストがかなりきて。私はいつも3連で6/8拍子のロッカ・バラードを、デビュー以来いつもアルバムのどこかに必ず1曲は入れてきたんですけど…「けんかをやめて」とかね、で今回も書き下ろそうかなって思っていた時にそういうリクエストがあったので、じゃあ広末さんの「とまどい」を達郎がドラムを叩いてコーラスやったらいいかもな、って思って。いいドラムを叩いてくれてるんですよ。6/8拍子のドラムは、本当に巧い!
−−:さて6曲目の「ソウルメイトを探して」ですが…。
竹内:これはメグ・ライアンが出演する自動車のCM曲だったんです。このCMの時に最初は「色・ホワイトブレンド」を使いたいって言われたんですけど、「せっかくだから古い曲じゃなくって、シャッフルが良ければシャッフルの新曲を書きおろさせて下さい」って言って、それで新たに書いた曲です。「ソウルメイト」っていう言葉は、例のメモ帳にあったので、ここから引っぱり出してきて。録音した時には、達郎が「これなんかディキシーっぽい、ニュー・オーリンズっぽいブラス入れてみようか?僕が(譜面)書くから」って言って、それでブラスを入れてみたら結構よくって、2人で「これハマったね!」って喜んだ記憶があります。

inserted by FC2 system