#20 NONA REEVES of SPECIAL INTERVIEW

SPECIAL INTERVIEW

NONA REEVES

5月9日に待望のニュー・シングル『LOVE TOGETHER〜パラッパラッパーMIX』をリリースしたノーナ・リーヴス。そしてこの曲は、話題のアニメ番組『パラッパラッパー』でもオープニングでも既にオン・エアーされているので、耳にされた方も多いはず。そこでこの注目のシングルについて、ノーナ・リーヴスの3人にインタビューを敢行しました!

(初出『Groovin'』2001年5月25日号)

ノーナリーブス-A.jpg

ーー:インタビューさせて頂くのは、ちょうど1年振りぐらいですよね。前回は『LOVE TOGETHER』をリリースされた時でしたので。
郷太:そうですね。
ーー:この1年間を振り返ってみて、ノーナ・リーヴスにとってどんな1年間でしたか?
奥田:"LOVE TOGETHER"な1年でしたね(笑)。
郷太:まだ続いてるし、ね。そうですね、メンタルな意味では変わっていないかもしれませんね。『LOVE TOGETHER』を作る時点で、僕らは相当変わったので。『LOVE TOGETHER』っていう歌は(昨年3月に)CDとしてリリースされて僕らの中でも一度区切りがついていて、その後で『DESTINY』っていうアルバムが出来てリリースしたので、『LOVE TOGETHER』自体は、(そういう曲が)あったなって思いかけたぐらいの頃にもう一度リリースすることになったので。だから『LOVE TOGETHER』を(筒美)京平さんと一緒にやろうとか、単純にヒット曲をもっと書きたいなというようなテンションになる前となった後の違いに比べたら、この1年間はそんなに変わってないですね。そういう風に思ってます。例えば1年前に見ていた映画が、(今見たら)突然つまらなく感じられるようになったとか、高校生が大学に入って、高校の友達が全部いなくなって大学の友達に変わったとか、そういう意味での変化はないですね。だから逆に言うと良かったなっていう感じもしますね。『LOVE TOGETHER』を作ったことであか抜けたし、悪い意味でそれ以上自分たちを締め上げることもなくなったし、次の段階に行けてたから。だからそういう意味では『LOVE TOGETHER』な1年だったんですね。まあ、これからもしばらくは続くと思うんですけど。良かったと思いますね。(1年前のインタビューでは)すごく自信満々なことを言ってて、その後ハッキリ言って思ってたほど(『LOVE TOGETHER』が)流行らなかったなって思ってたんですけど、でも絶対に大丈夫だって思ってたのにっていうのはあったんですよ。今までのノーナの曲の中でも『LOVE TOGETHER』や『DJ!DJ!〜届かぬ想い〜』は、実際みんなが知ってるっていう意味でも一番人の心に届けられた曲だとは思うんですけど、でももうちょっと行けるはずだったのに、じゃあ何でなんだろう?ってこの『Groovin'』のインタビューを(後で)読んだときに思ったんですよ。4ヶ月ぐらい前に。だけど結局サイコロがもう一度転がってきて、今回のリリースに繋がったっていう感じがありますね。一度止まりかけたサイコロがもう一度まわり出して、これからどうなるのかはわからないですけど、楽しみですよね。
ーー:やはり去年の『LOVE TOGETHER』があったからこそ今回のリリースもあった訳ですから、そういう意味ではずっと継続している部分もありますよね。あと曲が良かったからこそ、こういう展開になったんだと思いますね。そのきっかけとして今回「パラッパラッパー」のオープニングで使われることになったのもいいことですよね。
奥田:『LOVE TOGETHER』のオリジナル・ヴァージョンが出て、でもどう考えてももうちょっと聴かれるべき曲だなって思ってたんで、それが今回こういうことでリリースされることになってすごく嬉しいですね。『LOVE TOGETHER』以降はこれからどんな曲をやるにしても、『LOVE TOGETHER』をやった上でこういう曲調のものをやるとか、そんな感じになってきてるんですね。そういう意味では今でも『LOVE TOGETHER』に引っ張られているっていう気はしますね。背中を押してくれてる曲とでも言うか。そんな感じですね。
ーー:で今回リリースの『LOVE TOGETHER』はアニメの「パラッパラッパー」のオープニング主題歌として使われていますが、この経緯は?
郷太:聞いた話だと、松浦(雅也)さんがすごく『LOVE TOGETHER』を気に入ってくれてて、それでアニメの「パラッパラッパー」の音楽をどうしようかって探しているときに、色々な曲がリスト・アップされていたんですけど、その中で一番ぴったりくるのが『LOVE TOGETHER』だったから、っていう話で。実際僕らも驚いたし、しかも(発売された)1年前の段階で『LOVE TOGETHER』作りましたって言ってプロモーションしてるときに、4月からアニメが始まるんでそのタイアップが決まりましたよ、っていうんならもっと分かりやすいじゃないですか。新曲だし。でもそうじゃないし、しかも他のレコード会社が関係しているアニメにその垣根を飛び越えて僕らの『LOVE TOGETHER』が使われることになって、だから本当に驚いたんです。でも純粋に松浦さんがこの曲を気に入ってくれたっていうのが、大きいと思うんですけどね。だからリミックスして「パラッパラッパー」のアニメのイメージにもう少し近づけたいんだ、っていう話を聞いても、今回のミックスについては僕らは何一つ(注文は)言ってないんですよ。素材だけ渡して、できあがりを聴いてっていう感じ。
ーー:松浦さんとは、それまでに面識はあったんですか?
郷太:まだないんです。一回も会ってない(笑)。でもリミックスされたものを聴いてても、『LOVE TOGETHER』という曲そのものをリスペクトして下さってる感じはあるので、あの歌がすごく好きだという気持ちが伝わってくるミックスだと思うので、そういう意味ではありがたいなって思ってるんですけど。
ーー:今回の松浦さんのミックスは、思っていた通りの出来でしたか?それともかなり違ってましたか?
郷太:かなり違うっていうことはないですね。リミックスって一言で言っても、何百何千っていうやり方があるし、どれをどう取ってミックスするのかも分からないし、それこそサビの部分だけを残して連続させることも出来るわけだし、ギターやベースやドラムを全部除いて歌だけ残すことも出来るし、逆に言うと歌を残さないリミックスもあるし。そういう意味で言うと最初はどんなリミックスでも…(小宮山)雄飛君がやったリミックスにしても…ビックリするんだけど、ただ少なくとも今回のリミックスは『LOVE TOGETHER』っていう楽曲を大事にしてくれている感じがあったから良かったですね。
奥田:どんなリミックスでも一回バラバラにして、そこからもう一度手術じゃないけど縫っていくっていうことになると思うんですけど、このミックスに関してはその傷口がほとんど分からないというか、ホントそのままというか。だからこの話が来たときに、どんな感じになるんだろうなってイメージした通りでしたね、ある意味。スクラッチとか入っていて、取っつきやすい感じになってると思いますね。
郷太:アニメの主題歌の場合、特に絵との一体感というか…。特に「パラッパラッパー」は単なるテレビ・ゲームと言うよりは、音楽のゲームだったじゃないですか。音がメインで、ストーリーと言うよりキャラクターの絵と音との合体感が大事だとすれば、(今回の『LOVE TOGETHER』は)その目で見る画像と音のバランスが半々ぐらいのリミックスだと思うんですよ、重要な要素として。普通の音楽だったら絵はなくて、音だったり、ダンス・フロアで踊ったりとか、家で聴いたりとか、そういう要素が入ってくるんですけど。でも松浦さんの場合、リミックスの中に「パラッパラッパー」の絵とかキャラクターとか目で見る要素が半分ぐらい入ったリミックスだと思って。この前オン・エアーされた「パラッパラッパー」を家で見てて、それでようやく分かったというか、これとこれが合体して初めて松浦ミックスになるんだっていうのがすごくあって。元々「パラッパラッパー」自体が、松浦さんがただ頼まれて音楽をつけたというようなものではなくて、ほとんど映画監督みたいな感じで脚本も書いてっていうのに近い感じで作られたものだったから、そう考えると(音やキャラクターが)全部が合体してリミックスされてるんだっていう風に捉えると、すごく良かったんじゃないかな。特にテレビでリアルタイムに見ているときに、ああなるほど、なるほどって思って。
ーー:やはり、絵を見て初めて分かる部分ってありますよね。そこまで含めて考えて作ってるでしょうからね。
郷太:そうですね。元々僕もMTVとか大好きで、いくつかの曲なんかはビデオ抜きでは語れないっていう程ですから、例えば「Take On Me」とか。曲と言うより、絵で覚えてるとでも言うか。まあマイケル(・ジャクソン)とかもそうなんだけど。そういう意味でのヴィジュアル的な効果って言うのは、ノーナ・リーヴスに関しては(今回の「パラッパラッパー」の様な)そこまでのものはそこれまでにはなかったから、初めてですよね。例えば山下達郎さんの「クリスマス・イブ」にしても、ただ単に曲として聴いていた時よりも、「シンデレラ・エクスプレス」のCMで流れたみたいに新幹線のホームで恋人を待ってて、でも恋人は現れなくて、その後出てきて驚かされたみたいな、ああいう映像を見ることによって普通の人に歌詞の意味が伝わったりすることもあると思うんですよ。ボーっと音楽に対してニュートラルに構えている人にとっては、なおさら。あの映像によってあの曲の良さが伝わった部分もあると思うんですよ。そういう意味でのきっかけとしては、(今回の「パラッパラッパー」での起用は)僕らにとってすごくラッキーなことだったと思いますね。そこで絵と音楽が合体していく、そこも含めて。
ーー:ところで、今回の様に自分がつくったマテリアルに他人が手を加えることや、あるいは以前リリースされたYOU THE ROCK★とのコラボレーションによる『DJ!DJ!〜届かぬ想い〜』や京平さんとの仕事もそうですが、他人と一緒に仕事をしていくことの面白みや醍醐味とは、何ですか?
郷太:京平さんにしてもYOU THE ROCK★にしても松浦さんにしても、みんなタイプは違うんだけど何かすごい強力な人ですよね。YOU THE ROCK★と京平さんは、人間としても全く正反対の人だと思うんだけど(笑)。全く逆の人。でもやはりすごい人たちばかりで、負けないようにっていうのもあるし、そういう意味では自信にも勉強にもなりますね。京平さんに教わったことはまだハッキリ言って、全部が自分たちの中で把握出来ていない部分もあるぐらいとてつもなく厚い教科書だから。YOU THE ROCK★の場合は、ある程度エッセンスは伝わったんだけど(笑)。
奥田:短期講習っていう感じ(笑)。
郷太:合宿で車の免許取るみたいな感じなんで(笑)。まあ京平さんの場合はそういう感じではなくて、まだ家で作っている曲や頭の中で考えてる曲とかも、特にさっき奥田も言ってたけど『LOVE TOGETHER』以降は「京平さんだったらどうするかな?」っていうのを考えるようになりましたね。よく三谷幸喜とかが映画のラスト・シーンとかを見て「ワイルダーだったらどうしただろう?」とか言うじゃないですか。ああいう感じで、京平さんならこうするかなって考えて、わざと京平さんがしない方向に作ることもあるし、また京平さんならこうするからこうした方がいいんだ、って考えることもあるし。もちろんそれは僕の勝手な想像なんだけど。でもそう言う意味での勉強や刺激は、普通頼んでも教えてもらえないようなこともたくさんあるだろうし。だからいい経験になったかな。でもまだ、これがいい経験になってこういう風になりましたよって(京平さんに)言える段階ではないから、1年後ぐらいにそういう風になればこの先がさらに見えてくるんじゃないかと思いますね。
ーー:自分で身をもって体験したことと、外から客観的に見ただけで言うことでは違うじゃないですか。実体験としての京平さんとの仕事は、僕から見てても大きかったんじゃないかと思いますね。奥田君は京平さんと仕事をしてみてどうでしたか?
奥田:大前提として、筒美京平さんの言うことは正しいっていうのがあるから(笑)。そこで京平さんと仕事をすることで新たな基準というか物差しが完全に出来たから、今回のシングルにしてもそれが続いて生きてますね。『LOVE TOGETHER』気分じゃないけど。例えばこれからすごくコアなマニアックなことをするとしても、京平さんと一緒に仕事をした上で、これは京平さんならこうするとか、京平さんならこうしないから逆にやってみようとか、そういう選択肢が出来たような気がしますね。トラウマじゃないけど、しばらくそれが続くのかなって思います。
小松:京平さんは古典になってるんじゃなくて、実は結構今の音楽をめちゃめちゃ意識している、そんなところが僕はすごく面白かったですね。最初、テンポを早くしろって言われたんですけど、それも今の音楽はもっと激しくてかなりどぎついから、っていう感じで。京平さんってもう出来上がっている感じがするんですけど、でも今の音楽をものすごくよく見ている人なんだっていうのがありましたね。
ーー:その辺の京平さんって、普通の人には見えないところかも知れないですね。
小松:そうですね。色んな人の名前を挙げて、この人の音楽はどうだとか、そんな話もしてくれますね。
奥田:でも逆に言うと、クラシカルな面を感じたところもありますよ。昭和の人だなっていう、いい意味でのズレも。例えば新しいビートに対する解釈も僕らとは少し違うと思うんですけど、その辺が分かったりしたことも良かったですね。
ーー:でもそれが実体験として得られたことは、本当に良かったですよね。
小松:そうですね。
郷太:いい意味で京平さんはいまだにがっついてますよね。パーソナリティー的には全くがっついていない人なんですけど、上品だし。でもかなりドライな感じで優しいという。例えばお味噌汁多めに作ったから、飲む?みたいなんじゃないんですけど、むしろ腹減ったなって思ってたらこっそり饅頭が置いてあるみたいな(笑)。ああ、置いてくれたたんだ、京平さん、みたいな(笑)。どう考えても日本の作曲家の中でも、見た目や発言や身のこなしはそうじゃないにしても、根元の部分で京平さんは最もがっついてた人だと思うんですよ。そうじゃなかったらあんなに曲作れないし、途中でいいやと思っちゃうじゃないですか。(アントニオ)猪木みたいに何度引退するとか言っても、結局リングを見ると出て来ちゃったりして(笑)、最後に「ダーッ」って言って終わりみたいな(笑)。見た目とかやり方とかは全く違うけど、こと作曲とかに関してはそういうところがあったから、それはすごく勉強になって。ただ頑張りな、って言われるのとは全然違って。すごくそういう意味ではいい先生についたなっていう感じですね。もちろん今の若いプロレスラーから見れば、猪木に対しても半分半分の意見じゃないですか、たまに散髪屋とかで『ゴング』とか読むと(笑)。よくプロレスとかは知らないんだけど、でも読んでると猪木さんについて半分否定していながらもでも逃れられないみたいな(笑)。だけどそういう意味でいうと、格闘技の専門家というよりはプロレスラーなんだと思うんですよ、猪木って。プロフェッショナルなレスラーというか。だから作曲家とか、ただいい曲を作る人とか、そういうところを抜けたところでのプロ作曲家というか、それこそヒットさせたりお客さんをたくさん呼んだりというところでの作曲家こそが京平さんだと思うんです。僕らは今まで強くなることを前提として音楽をやってきて…K-1なのかわからないけど、勝つことを求めてずっと音楽をやってきたんです。でも昔の西武(ライオンズ)みたいに勝っても客が来ない野球っていうのもありますよね。京平さんは人を呼ぶ野球。そこでじゃあその人を呼ぶ呼ばない、つまりその違いが何なのかというのを、『LOVE TOGETHER』の中で教わった気がして。『DJ!DJ!〜届かぬ想い〜』に関しては、『LOVE TOGETHER』ほど京平さんの色々な意見が反映されていないにしても、あの2曲でなるほどなーって分かったことが多かったですね。それがまた今回どういう風に変わっていくかっていうことを、僕らとしても前よりも逆に傍観してるというか、そんな感じで。まあ前に一度出した曲だし。楽しみではありますよね。初めて曲そのものが大きくなって、ノーナ・リーヴスを越えていったというか、そういう感じがして。今まで曲に対して可愛い娘みたいな感覚があって、だから変な奴のところには嫁がせない(笑)頑固親父みたいなところがあったと思うんですけど、今回はここまで育てば誰とでも結婚しろみたいな感じですね。
奥田:どんな男連れてきてもいいみたいな(笑)。
郷太:そう、どんな男連れてきてもいいぞっていうムードがあって。昔だったら「お父さんに会わせなさい」みたいな、電話かかってきたら切っちゃうみたいなそういう感じがだったんですけど、音楽に関しても。だから今回はホント単純に楽しみ。どうなるのかなっていう感じで。
ーー:でも今回のように一歩引いたところで客観的に自分たちの作品を見られる機会って、あまりないですよね。いつもは作ってからリリースするまでのインターバルが短いですし、それだけ思い入れも強いでしょうから。
郷太:そうですよね。なかなか出来ない経験ですね。5、6年経ってからっていうんならまだ分かるんですが、発表してから1年後にリリースするっていうのは、あまりないでしょうね。アルバムからのリカットっていうのならまだしも、シングルとして切ったものをもう一度1年後にリリースするっていうのは、珍しいケースですよね。1年間っていう期間が、また一番微妙なところじゃないですか。これが実は良かったとか、20年経ってから再評価されることはあっても。
ーー:あと誰かがカヴァーしたとか、ね。
郷太:そうそう。でもそうじゃない形できた話なんで、面白い経験が出来るんじゃないかと思いますね。
ーー:あと松浦さんって全く違うフィールドの方が手を加えることによって、逆に純粋にその楽曲の中にある郷太君や京平さんの部分がクローズアップされてくるっていうところがあるかも知れませんね。
郷太:そうですね。僕はあまりゲームとかはやらないんですけど、弟がプレステとかを持ってて「パラッパラッパー」をやったことがあって、松浦さんの「パラッパラッパー」の曲も『LOVE TOGETHER』っていうよりは『DJ!DJ!〜届かぬ想い〜』に近い、オールドスクールのヒップ・ホップ的ないい曲だなって思ってたんですけど、どう考えてもストレートに松浦さんにリミックスを頼むっていうようなアイディアは元々持っていなかったので、今回は本当に予想外と言うか、そんな感じですね。それも曲が呼んできてくれたというか。ノーナ・リーヴスだからやりたいんじゃなくて、『LOVE TOGETHER』だからやりたいって言ってもらった話なので。だから本当に、僕らより曲が偉いというか。だから何曲もこういう曲が出来ていくことが、さっきも出たプロ作曲家ってことなのかなって。それこそ筒美京平っていう名前だって、僕らみたいに音楽好きな人間なら知ってるだろうけど、ホントに一般的な例えばうちのオカンみたいな人にとっては、実際に筒美京平って言ってもピンと来ないですよね。でもこの曲もこの曲も、例えばジュディ・オングやサザエさんもこの人の曲なんだって歌えば、「それも、それも、これもそうなの!」ってなると思うんでね。そういう意味で京平さんは、すごくかっこいいと思うんです。曲の方が僕より偉いっていうところを京平さんは前提としていて、だから多分自分が色んなところで前に出ていったりしないんだろうって思いますね。でも僕らにもやっとそういう曲が1曲出来たというか。『LOVE TOGETHER』は知ってるけど、ノーナ・リーヴスは知らないっていう人がいると思うんですよ。さらに今回のテレビでそれは増えると思うんですが、逆に僕らの気持ちとしてはこれからどのようにして僕らを越えていく曲を作っていくかっていう、必死な感情はそこに集約されているんですね。これは一回体験してみないと、分からない感覚だと思うから。僕らぐらいの世代で、音楽が好きでやってる人たちはいっぱいいますけど、バンド名とか個人名よりも曲の方が偉いっていう感じがわかるっていうのは、貴重なことかも知れないですね。
奥田:当面のライバルは『LOVE TOGETHER』ですね。
ーー:『LOVE TOGETHER』を越えるっていうのが、目標でもありますよね。あとゲームをやる人と音楽を聴く人は基本的に違う層だと思うんで、そういう意味でもファン層が広がりますよね。
郷太:全く知らない人がいっぱいいると思うんですよ。
ーー:その辺の反応も楽しみですよね。
郷太:そうですよね。小さい子供を持つお母さんとか、ね。お母さんも僕らと同い年ぐらいかもしれないから、その辺も含めて。若い子はもちろんですけど、そうじゃない層にも聴かれる可能性はかなりありますからね。
ーー:これからライヴの会場がゲーマーで埋まっちゃったら、どうします?ノリが全然そこだけちがうとか(笑)。
郷太:意図せぬ形で男の客が増えたりして(笑)。
ーー:みなさんはゲームはやらないんですか?
小松:僕はやりますけど、サッカー・ゲームだけです。結構極めてますよ。でも対戦相手が、郷太の弟しかいないんです(笑)。2人で競争しあって。
郷太:本当に2人だけで、何回も何回もやってるんですよ。
ーー:あとこの辺で今回のシングルのカップリング曲のお話を伺いたいんですが、テンプテーションズの「Just My Imagination」をカヴァーされてますよね。これは誰のアイディアだったんですか?
郷太:この曲をやろうって言ったのは、僕ですね。何かカヴァーをやろうっていう話になって、やはりクラブとかでかけられる曲がいいなって思ってたんですけど、この前の『LOVE TOGETHER』のカップリングはアイズレー(・ブラザーズ)の「If You Were There」だったということを踏まえて、モータウンがいいんじゃないかというアイディアもあってこの曲にしました。で、「Just My Imagination」をやろうって思った時にある程度これはうまくいくっていうのが見えてて、それに元々自分ですごく好きな歌だったので、歌ったときの自分の姿というか声のあり方というのが予想がついたんですよ。「If You Were There」もそうだったんですが、この歌だったら大丈夫だって。カヴァーって結構微妙なもので、何でこの人がこのカヴァーするんだ?っていうときもあるし、このカヴァー意外といいなっていうときもあるし。でもその基準っていうか分岐点になるのは、その演奏者の肝がそこに据わってるかどうかっていうことだと思うんですよ。僕はこの歌が好きだよって、最後まで言えるかどうか。たまたまこの歌がいいとされてるからカヴァーしたとか、ディーヴァ系の女の子がローリン・ヒル好きになってから2年ぐらいの周期でアレサ・フランクリン好きになってみたりとか、そういうんじゃなくて(笑)。でも「Just My Imagination」やテンプテーションズだったら、自分の中でも自信を持って好きだと言えるんで。決してレコードいっぱい持ってるとかそういうところじゃなくて、根本的なところで理解してると言えると思ったんで、やってみたんですけど。で、ギター・バンドがディスコをやってるみたいな感じで演奏しようっていう話になって、スタジオに入って奥田がコードを弾き始めた時点で、ほとんど出来てましたね。もちろん細かい調整はあったんですけど、うまくいったなって思いましたね。ディスコものをディスコでカヴァーするのはちょっとナンセンスだなって思ってたから。あの曲の元の曲って、結構アレンジが滅茶苦茶じゃないですか。隙間もあるし、どう考えてもこれが完璧な姿だとは思えない。曲としても未完成。でも元々メロディがいいから全米No.1とかになってるけど、ビートルズの例えば「ストロベリーフィールズ・フォーエヴァー」とか、演奏の時点で完成されてる曲ってそれを越えるのは難しいですよね。ビーチ・ボーイズの「キャロライン・ノー」もそうだけど。あれ以上のものにはならないでしょ。
奥田:「ホワッツ・ゴーイン・オン」とかもね。
郷太:そう。あと「ウィ・アー・ザ・ワールド」とかをカヴァーしたところで、あれを越えられる訳はないですよね。色んな人が歌っているからいいのに、僕が1人でカヴァーしてもいいはずないですよね(笑)。そういう意味で例えば女の子で言うと、すごい美人なのに田舎から出てきたばっかりの子で、その子にこれいいよって服を着せてあげて、お化粧してあげる「マイ・フェア・レディ」や「プリティ・ウーマン」みたいな感じが、この曲の中にはあるんですよね。この曲はもっと良くなるはずなのに、原石の良さに留まってるというか。だからそういう意味ではアイズレーの「If You Were There」やWHAM!をカヴァーするのとはちょっと違う面もあって。だからやりたいなって思ったんですよね。さっきのリミックスの話じゃないですけど、いじくってこんなにしちゃいましたっていうカヴァーにはしたくなかったんです。「If You Were There」はそのまま素直にイメージも含めてカヴァーしたいなって思ったんですけど、今回はその綺麗さ、純なところを引っ張ってきて表舞台に立たせるみたいな、そんなふうにしたいなっていう気持ちが沸いてくる曲でしたね。カヴァーは単純に楽しくて大好きだなっていうことが、やる度にわかりますね。いいバンドや、いいグループって、カヴァーがいい場合も多いですからね。僕はWHAM!が大好きなんですけど、どのアルバムでもミラクルズのカヴァーやったり、アイズレーやったり、WAS NOT WASをカヴァーしたりしてて、それでそんなグループがいるんだっていうことを僕はWHAM!から知ったっていうことがすごく多くて。だから僕らの今回のCDでも『LOVE TOGETHER』は知ってるけど「Just My Imagination」は知らないっていう人がいっぱいいると思うんですよね。そういう人が聴いて「Just My Imagination」やテンプテーションズに興味を持ってくれれば、それだけでもいいことじゃないかって思いますよね。今回は子供達が聴くんじゃないかって僕らは予測してたから、ちょっとはお兄さんっぽいことが出来たかな。音楽好きなお兄さん。周りによく1人ぐらいは、いるじゃないですか(笑)。
ーー:「これ聴いたことある?」って言って、聴かせてくれる人。
郷太:そうそう(笑)。ツェッペリンとか聴かせるお兄ちゃん(笑)。そういう感じになればいいな。今は核家族で、そういう近所のお兄ちゃんもいなくなってると思うんで、そこに歌の上手なお兄さんとして僕らが登場する、と(笑)。そういう意味でもテンプテーションズっていいかなって思いますね。
ーー:でも元々このテンプテーションズの「Just My Imagination」とは、どんな出会いがあったんですか?誰かのカヴァーですか?
郷太:(ローリング・)ストーンズもやってますよね。元々小学校の頃にマイケル(・ジャクソン)を好きになって、その流れでモータウンやマーヴィン・ゲイとかスティーヴィー・ワンダーとかのベスト盤を聴いてるうちにテンプテーションズやミラクルズのベスト盤のレコードを借りて聴くようになったんで。それとマイケルが初めてムーン・ウォークした『モータウン25』っていうビデオに、テンプテーションズもフォー・トップスと一緒に出ていて、それを何度も見てましたね。そこから色々と聴くようになったんで、そのころですかね、出会いは。
ーー:これもマイケル繋がりなんですね!
郷太:そうなんですね。でも奥田とかは、ストーンズからですよ。
奥田:僕は中学の時にストーンズ好きだったんで。ストーンズも色々なカヴァーをやってますけど、その中でもこれが一番好きだったんですよ。ストーンズのヴァージョンもかなり緩いカヴァーですけど、とりあえずそれには勝とうみたいな感じで(笑)。
郷太:でもそこも今回のポイントで、テンプテーションズとストーンズっていいなと思って。
ーー:ある意味、両極ですよね。
郷太:ロック・バンドとヴォーカル・グループで。そう僕らの中では、どんどんポップ・ミュージックへシフトしてきていた部分があって、『LOVE TOGETHER』はほとんどロック・バンドっていう感じじゃないですよね。だからそれのカップリングだから、逆にバンド感出したいなって思って。だから今回は一発録りに近い形で録ったんで、アッという間に出来たんですよ。『LOVE TOGETHER』みたいに緻密に作り込んだ歌のカップリングだったから、カヴァーまで変に作り込む必要もないしって考えたんで。そういう良さを求めていたところもありますよね。
奥田:マイ・ペースなところを出したかったというか。このプロジェクトの中で唯一マイ・ペースなところですからね。
ーー:またその対比が効いている方が、面白いですよね。
郷太:そうですね。あとこの2人はストーンズとか大好きだったから、そういうのも含めて。僕のテンプテーションズ好きといいところで混じってるんじゃないかっていうのもあって。前回の「If You Were There」はどちらかと言えば僕寄りだったですけど、今回は3人のど真ん中というか、みんな大好きなものだったんで。
ーー:しかも同じ曲でも、そのルーツが違うっていうところが、面白いところですよね。
小松:僕はストーンズは好きでよく聴いてたんですけど、この曲自体はあまりピンと来なかったんです。でも後でテンプテーションズの方を聴いてから改めてなるほどって、再確認しましたね。時期的にはストーンズの方を先に聴いたんですけど。高校1年生ぐらいの時ですね。でも当時はギターの方に耳がいっていて、で後からテンプテーションズを聴いて、「あっ、この曲ストーンズがやってる」って思ったんで。アイズレーもその頃聴いて、「あっ、この曲WHAM!がやってる」って思いましたね。
ーー:でも一般的に、ノーナ・リーヴスからはストーンズ的な色は感じないですよね?
郷太:ここ2年ぐらい、敢えてそういうことは言わないようにしてました(笑)。1つのキャラ作ろうとしてたんで。一番最初にノーナ・リーヴスがバンドになった時点では、ギター2人にベース、ドラムに、何も持たないヴォーカルといううストーンズと同じ編成だったんですけど、今ならいいかなっていう感じで。
奥田:でもストーンズみたいなバンドは嫌いだったんだけど(笑)。
郷太:奥田のギターは常にストーンズらしさを持ってますよ。あとキンクスとかブリティッシュ・ギター・バンド的なものを。
奥田:ストーンズが好きっていうことは、要するにロックが好き、音楽やバンドが好きっていうことだと思うから、それを敢えて出さなくてもね。
郷太:でも今回の曲に関しては、それが絶妙のブレンド具合で出てきてるから。「サティスファクション」やってるわけじゃないしね(笑)。そういうのカヴァーするんじゃ、ちょっと微妙だなとか思うけど。ビーチ・ボーイズににしてもビートルズでも、キンクスでもビージーズでも、本当にいいと思えるものは一緒だから。敢えて人がいいなっていうものと同じ事を言っててもしょうがないので、だからWHAM!とかマイケルとか、言ってたところもあるんだけど。もちろん好きだから言ってるんですけど、優先順位としてね。この店の売りとしてはネギラーメンという店があったとして、でそこにはストーンズみたいなチャーシュー麺も当然あるんだけど、でもうちの売りはバカネギラーメンみたいな感じだったから、WHAM!とかは。
ーー:上から油かけて火つけちゃうみたいな(笑)。
郷太:そう、それそれ(笑)。バカネギありますよって、まず言っちゃう。他のメニューもあるんだけど、あくまでもうちの売りはバカネギラーメン!そんな感じですね。ビーチ・ボーイズは何か、つけ麺っていう感じですね(笑)。ビートルズが普通のラーメンだとしたら、ビーチ・ボーイズはロック・バンドとしてはちょっとなり切れていないところがある感じがしますよね。それがつけ麺的ですよね。実際食べてみると、麺は一番しっかりしていて美味しいとか(笑)。
奥田:でもちょっとぬるい感じもありますよね(笑)。
郷太:あるある!ビーチ・ボーイズはちょっとぬるい感じがする(笑)。男っぽくないというか。でもこれが一番店の個性が出るとか、そんな感じもあったりして。そういう意味でも、ストーンズはチャーシュー麺ですよね。
ーー:では今後のノーナ・リーヴスについて一言ずつお願いします。
郷太:1年前に「If You Were There」をやったことによってムードを変えられたということもあったし、今回の「Just My Imagination」がどういう風に今後のアレンジとかに作用していくのかってことは、楽しみな部分ですね。お祭りと日常じゃないけど、思いっきり分けたいっていうのがあるんですね。シングルでは思いっきりダンスしたいっていうか、踊りたいし暴れたいし、そういう感じで行きたいんですけど、アルバムはそうではなくって家でカプチーノでも飲みながら音楽を聴く日曜日みたいな感じでもいいし。シングルに関しては、折角外でお祭りやってるのに、御輿の上に乗ってる玉を取りに行かない自分って嫌だなって思って。他の人を踏みつけてでも、僕が絶対に取るみたいな。そんな感じがして。牛に追いかけられたりして(笑)。そういう感覚があって。昔は玉を取りに行ってる自分が格好悪いって思ったこともあったけど、今は思いっきり取りに行きたいとうか。
ーー:その辺が一皮むけたところですよね。
郷太:それが『LOVE TOGETHER』だったんですよ。で、今回の『LOVE TOGETHER』がどうなるかで今後の展開も変わるとは思うんですが、とりあえず今は新曲を作っていて、状況によってはシングルをたくさん出していきたいと思います。で、今年中にはいいアルバムも作れればいいなと思いますね。あと今回の『LOVE TOGETHER』の情勢をちょっと見てから考えたいっていうのもありますね。今年のお祭りのルールはどうなの?みたいな感じかな。ルールを見極めないで祭りに行ったら、1人だけふんどし姿だったっていうんじゃ、ね(笑)。最初に着いた人が勝ちっていうお祭りもあるし。ルールを見極めたいですね。
奥田:御輿の大きさっていうか。阿佐ヶ谷の七夕なのか祇園まつりなのか(笑)。
郷太:高田馬場の鉄腕アトム祭かも知れないし(笑)。その辺を一瞬だけでも様子を見てから、そこにシフトして行きたいっていうのがありますね。希望としては夏のうちに何かしら出したいですね。みんなが半袖着ているうちに。あとワンマン・ライヴが6月にあります。
ーー:では最後に、ファンの方に一言。
郷太:『Groovin'』では連載もさせて頂いてたんですけど、これからも宜しくお願いします。子供のいる家庭では、是非子供にも聴かせてあげて下さいね。ロドニーが書いた「パラッパラッパー」の可愛い絵柄のジャケットなので。3人兄弟だと取り合いになるので、一家に3枚ということで。
奥田:特に静岡でもよろしく。想像もつかないような反応が来るんじゃないかって、楽しみにしてます。そしてこれからもよい曲を作っていきますので。
小松:東京や名古屋でライヴもあるので、是非みなさんライヴにも遊びに来て下さい。
郷太:一生懸命いい曲作って頑張ります。
ーー:本日はありがとうございました。
郷太、奥田、小松:ありがとうございました。

(2001年4月18日 ワーナーミュージック・ジャパンにて)
インタビュー&構成:土橋一夫(編集部)

『LOVE TOGETHER〜パラッパラッパーMIX〜』
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CD
ワーナーミュージック・ジャパン/A.K.A records
WPC6-10129
¥1,000(税抜)
発売中

昨年3月に発売の『LOVE TOGETHER』を、元PSY・Sの松浦雅也がリミックス!そしてフジテレビ系アニメ『パラッパラッパー』のオープニング主題歌としてもO.A.中です。C/Wは何とテンプテーションズのカヴァー。ノーナの魅力が新たな形で現れた、注目の1枚!

【NONA REEVES 公式サイト】http://www.nonareeves.com/

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